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2020/01/12


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【偽左翼の欺瞞】ドイツの政治とメディア、じつはここまで「左傾化」が進んでいた 極右の台頭よりも問題視すべき事態

 source : 2020.01.10 現代ビジネス 川口マーン惠美 (クリックで開閉)






■新年のカウントダウンに乗じて




旧東独の文化都市ライプツィヒ。すでに12世紀には神聖ローマ帝国の商都として繁栄し、その後も20世紀に至るまで、商業のみならず、学問、文化、芸術が咲き誇った。

特に音楽では、ここを訪れなかった有名な音楽家を探すのが難しいほど。18世紀、ヨハン・セバスティアン・バッハが26年間も音楽監督を務めたトーマス教会では、床の下に、今もバッハが眠っている。

大晦日の夜9時、そのトーマス教会でオルガンコンサートを聴いた。この教会には、2台の立派なオルガンがある。曲目は、もちろんバッハと、その他マックス・レーガーなど。オルガニストは若年20歳の青年で、瑞々しい才能が迸るような爽やかな演奏だった。

教会から夢見心地で外へ出たのが10時40分。あちこちから花火を打ち上げる爆音が聞こえた。空気がすでに火薬くさい。

ドイツの大晦日は大騒ぎの日だ。本来ならカウントダウンで零時を待ち、新年とともに皆が打ち上げ花火に興じる。しかし、ライプツィヒでは、それを待ちきれず、多くの人がすでに花火を打ち上げていた。これまで住んでいたシュトゥットガルトでは、皆が律儀に零時を待つので、地方色の違いが面白かった。

ちなみにドイツでは、花火の販売は、1年のうち、12月29日から31日までのたった3日間しか許可されていない。その代わり、かなり危険なロケット花火も店頭に並び、それが飛ぶように売れる。毎年、花火由来の事故で、怪我人も出る。

家に帰って年越しそばをいただき、零時に外に出ると、花火は上がっていたものの、シュトゥットガルトのように夜空が一面に明るくなるほどの迫力はなかった。それでも、「ああ、2020年が始まったのだなあ」という感慨に浸り、しばらく空を見上げていた。




ちょうどその頃、我が家から南に5kmも離れていないConnewitz(コネヴィッツ)という地区で、極左の暴動が始まっていた。

これまで全く知らなかったのだが、ライプツィヒのコネヴィッツ地区は、ハンブルクのRote Flora(1989年に極左が占拠したまま、自治という名で今に至るまで極左グループの活動の中心となっている建物)や、ベルリンのRieger通り(1990年に極左が幾つかの建物を占拠し、それを立ち退かせようとした警察とのあいだで戦闘行為が繰り返されてきた通り)と並ぶ、戦闘的極左グループの牙城なのだそうだ。

コネヴィッツには危険人物としてマークされている極左が百人以上もいるといい、当然、暴力沙汰は多い。暮れにもパトカー3台が炎上したし、現在、この地域で進められようとしている住宅プロジェクトに反対する勢力が、夜中に建設機材に火をつけたり、関係者の自宅に押し入って乱暴を働いたりしているという。

■政治家とメディアの信じがたい反応




元旦の報道によると、大晦日の晩、ここに集結した約1000人の極左と愚連隊もどきが、零時15分ごろ、睨み合っていた警官隊に向かって石やガラス瓶を投げ、ロケット花火を打ち込み始めた。さらに、器物に火をかけたため、警官が介入。戦闘状態となった。

そのうち、暴徒を拘束しようとした数人の警官が、反対に2~30人に囲まれた。38歳の警官がヘルメットを奪われ、頭に傷を受け、倒れたあともなおも殴打され、意識不明となった。他の警官が駆けつけ、動かない警官を運んでいく様子が、すべてビデオに残っているという。

警察はその後の会見で、負傷した警官が「緊急手術」を受けたと報告した。片耳がちぎれかけ、ひどい出血だったという。他に数人の警官も負傷している。

ところが、この事件の後、左派の政治家が、こともあろうに警察を非難するコメントを出した。「警察による徹底包囲」、「通行人の有無を言わせぬ職務質問」、「(新年を祝う)イベントの場で、ヘルメットで武装した警官隊が好戦的な振る舞い」(いずれも左派党議員のコメント)など。

それどころか、SPD(社民党)の党首エスケン氏は、「警官隊の出動が妥当であったかどうか早急に調査するべき。もし、妥当でなければ、この事件の責任は州の内相(CDU・キリスト教民主同盟)にある」と述べた。断っておくが、SPDは極左の党ではなく、現ドイツの連立与党である。

さらに驚くべきことに、その途端、大手メディアまでが、警察が不必要に大掛かりな出動で左翼を挑発したのではないかとか、「緊急手術」は嘘だったとか、呆気にとられるほど極左びいきの報道を流した。右翼である警察が、極左を悪者にしようとしているのではないかと示唆した報道もあった。

私は兼ねてより、ドイツのメディアがいかに左に振れてしまっているかということを書いてきたが、此の期に及んで、警官憎悪や右翼憎悪はタガが外れてしまったと感じる。




一方、警察の記者会見はいつも通り遠慮がちで、「我々は12時まで堪えた」。怪我をした警官についても、「攻撃された」とか「怪我をさせられた」という表現は使わず、「激しい『影響(Einwirken)』により重篤な被害を受け、意識を失った」。しかも「緊急手術」を「手術」に訂正し、傷の内容については、医師の診断を待つとして言及を避けた。

しかし、このあと、あちこちから抗議の声が噴出した。いくら何でも、暴徒の肩を持ち過ぎだと、多くの人が感じたのだ。

SPD議員のガブリエル氏は、「警察の行動の是非よりも、犯罪者について議論すべきだ。政治とメディアと、もちろん警察と司法も一丸となって犯罪者を成敗しなければならない。遠くから、警察の作戦について狡猾な意見を述べるのではなく」とフェイスブックでコメント。名前こそ出さなかったが、党首エスケン氏に対する痛烈な批判であるのは確かだった。SPDは内部分裂がひどい。

FDP(自民党)の党首リントナー氏もエスケン氏を、「加害者と被害者を取り違えている」と非難。また、バイエルン州のヘルマン内相(CSU・キリスト教社会同盟)は左派党について、「暴動の罪を警察に押し付け、極左の愚連隊と連帯している」と批判した。

また、とくに激しい警察批判を展開したライプツィヒのSPDの議員イレーナ・ルドルフ−ココット氏は、同僚議員からの公開書簡で、すべての公職から退くように要請された。理由は、彼女の主張は「SPDだけでなく、社会全体を害する」から。

一方、事件当日、拘束され、今も留置場にいる極左4人は、それぞれ盛りだくさんの前科があるそうだ(他は皆、すでに釈放)。

警官に怪我を負わせた人物がその中にいるかどうかは、ビデオ鑑定の結果を待つそうだが、検察は、容疑者が確定し次第、殺人未遂で起訴するつもりだという。

■ドイツの左傾化はどこまで行くか

ドイツでは、4期目に入ったメルケル政権のとくに後半、政治とメディアの左傾化がトントンと進んだ。ドイツの右傾化を云々する声もあるが、それは、左翼の暴力を無視して、右翼の問題だけを取り上げている結果に過ぎないと感じる。

右翼のデモでは、シュプレヒコールさえ危険視され、もっと警官を増やすべきだという声が上がるが、左翼がデモで投石して警官に当たると、そんなところに立っていた警官が悪いとなる。

ライプツィヒに越してきて4ヵ月。未だにこの町に魅せられたままの私だが、これまでいたシュトゥットガルトに比べると、治安は確かに悪そうだ。2ヵ月ほど前も、中央駅前に警官が溢れていたので、何事かと思って近づいてみたら、駅舎の床が血の海になっていた。

しかし、ドイツでは、幸か不幸か、ただの殺人ではニュースにならない。いちいち報道していたら、他のニュースを流す時間がなくなるからだというが、おかげで、たいていの怖い事件は知らずに、平安に過ごせる。

末筆ながら、今年もドイツの新鮮なニュースをお届けできるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願い致します。


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