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2016/02/20


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日本社会の基礎単位とは何か…家族解体政策の流れを断ち切る「夫婦別姓・再婚禁止期間」最高裁判決 麗澤大学教授・八木秀次

 source : 2016.02.20 産経ニュース【月刊正論】(クリックで引用記事開閉)

■意外な結果…プロローグ




下馬評では「1勝1敗」というのが大方の見方だった。場合によっては「2敗」ということも十分あり得るという見方もあった。現在は、夫婦別姓に反対の政治家たちが政権を担っている。さすがの最高裁も政権に真っ向から歯向かう判決は出さないだろう。しかし、再婚禁止期間は、廃止を言い、DNA鑑定の導入を言い出しかねない。何しろ、2年前(平成25年9月)には、非嫡出子の法定相続分を嫡出子の2分の1とする民法の規定を違憲と判断した最高裁だ。メンバーはほぼ変わっていない。国民意識の変化だの、国連の委員会の勧告があるだのとの理由を挙げて、日本国民の家族観を大きく揺るがす判決を出すのではないかと思われた。メディアも朝日、毎日、日経は、判決に先立って、連日、夫婦別姓制導入、再婚禁止期間廃止に向けてのキャンペーンを張っていた。最高裁に圧力を掛けることを目的としたものであることは明らかだった。

昨年12月16日の最高裁大法廷判決を、私はテレビの前で固唾を呑んで見守った。結婚すると夫婦は同じ姓を名乗るとする民法750条と、女性にのみ前婚の解消・取り消し後、6カ月の再婚禁止期間を置かなければならないとする民法733条についての初めての憲法判断についてだ。午後3時、判決が示された。NHKは違憲判決を期待していたようでニュースの時間を拡大し、スタジオに解説の記者をスタンバイさせて判決を速報で伝えた。最初に再婚禁止期間の判決が出た。違憲の判断だ。しかし、内容は現行の6カ月を違憲とするものの、再婚禁止期間の意義は認め、一〇〇日に短縮することを求めるものだった。夫婦同姓については合憲の判決が出た。NHKのスタジオは当てが外れたかのように「澤穂希選手が引退を表明…」と次のニュースに移っていった。

私は共同通信から依頼されていた、「2敗」を前提に書いていた1200字の原稿を午後5時までの締め切りに向けて大慌てで直し始めた。嬉しい誤算だ。

その後、産経新聞他のメディアに電話でコメントした。コメントの回を重ねる度に、これは画期的な判決ではないかとの思いを強くした。記者の中には私の年来の主張を最高裁が受け入れたのではないかと指摘する者もいて、改めて判決文の詳細を読み返すと、なるほどその通りと思われるところも多かった。

私がこのテーマに取り組んで20年以上が経過する。夫婦別姓や再婚禁止期間廃止の主張に異を唱え始めた頃、世間の反応は冷たかった。大半は、これは世の流れであるとし、私は女性の敵か、頭のおかしい人扱いされた。保守派の多くは関心すら示さなかった。そんな小さなテーマにどうしてそこまで熱心なのかと冷笑された。

『諸君!』1996年3月号(2月2日発売)に掲載された拙稿「夫婦別姓は社会を破壊する!」が少々話題になったこともあり、その後、関心を示す人が増え、徐々に理解されるようになったが、それでも当時はそんな雰囲気だった。今回、最高裁大法廷が見解を示したことで司法判断としては一定の決着がついた。感慨深いものがある。

■家族を「社会の基礎」と認める

今回の判決についての私の見解は当日にいくつかのメディアに対して述べたコメントで概要は示されている。最も詳細なものは先述の共同通信への1200字の寄稿で、翌日、北海道新聞、河北新報、中国新聞、西日本新聞、沖縄タイムスなど全国の県紙・ブッロク紙計17紙に掲載された。それはそちらを見て頂くとして、各社へのコメントの中で最後の仕事となった日刊紙『世界日報』(2015年12月17日付)へのコメントが比較的まとまっているので、まずこれを紹介し、その後に多数意見(判決は15人の裁判官の多数決)を中心に判決を検討したい。

『世界日報』は「制度の意義踏まえ画期的な判決」との見出しで以下のように私のコメントをまとめている。

両判決ともおおむね妥当だ。夫婦同姓については、氏名が個人の呼称でなく、「家族の呼称」と強調。その上で、両親とその間に生まれた子供が共通した家族の呼称を名乗ることの意義に言及しており、大いに評価できる。/結婚して姓を変更すると、個人のアイデンティティーが喪失するとの主張に対しては、旧姓の通称使用で緩和されており、夫婦同姓が合理性を欠くとは言えないとしておりこれも妥当。/再婚禁止期間についても女性差別ではなく、父親の推定で混乱を避ける意義があると説いている。禁止期間を廃止してDNA鑑定で判断すればいいとの意見もあり、そちらの判決が出るという見方もあった。しかし、科学技術の発展を踏まえ、禁止期間を100日に短縮しながらも、制度の意義は維持できると、妥当な断を示した。/全体としては、非嫡出子相続差別規定の時とは違って「家族の多様化」や、国連の女性差別撤廃委員会の(選択的夫婦別姓制度を含む)民法改正勧告に言及せず、ひたすら現行制度の意義を説いたという意味で画期的と言える。さらには、制度の在り方は国会で論ぜられるべきであるとして、最高裁が事実上の立法行為をすることについて抑制的なことも評価できる。

判決(多数意見)は、まず夫婦同姓などの民法における氏に関する規定について、こう述べる。

これらの規定は、氏の性質に関し、氏に、名と同様に個人の呼称としての意義があるものの、名と切り離された存在して、夫婦及びその間の未婚の子や養親子が同一の氏を称することにより、社会の構成要素である家族の呼称として意義があるとの理解を示しているものといえる。そして、家族は社会の自然かつ基礎的な集団単位であるから、このように個人の呼称としての一部である氏をその個人の属する集団を想起させるものとして一つに定めることにも合理性があるといえる

ここで重要なのは家族を「社会の構成要素」「社会の自然かつ基礎的な集団単位」であるとしていることだ。私の知るところ、家族を「社会の自然かつ基礎的な集団単位」とした判決を最高裁が出したことはない。判決が画期的である所以だ。「社会の自然かつ基礎的な集団単位」との表現は最高裁の独創ではない。世界人権宣言(1948年)第16条の文言そのものであり、国際人権規約A規約〔経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約〕(1966年採択、1976年発効、1979年批准)第10条も家族を「社会の自然かつ基礎的な単位」としている。これらを踏まえたものだが、判決が家族共同体の意義を重視したものであることが窺える。

■氏名の法的変質を回避

その上で判決は氏を「家族の呼称」であるとし、その意義を強調した。直接的には示していないが、選択的夫婦別姓制にした場合、氏の性質が根本的に変わるという指摘を踏まえたものと思われる。選択的夫婦別姓制の導入などを提唱した法制審議会民法部会の答申「婚姻制度等に関する民法改正要綱」(1996年1月)を事務方である法務省民事局参事官として関わった小池信行氏は次のように指摘している。

今の日本における制度のもとでは、婚姻の際に夫婦が決めた氏は、当然に子どもの氏にもなります。そうなると、これは単なる個人の氏ではなくて家族の氏でもあるわけです。そういう機能を果たしています。ところが、夫婦別姓を認めるとなりますと、家族の氏を持たない家族を認めることになり、結局、制度としての家族の氏は廃止せざるを得ないことになる。つまり、氏というのは純然たる個人をあらわすもの、というふうに変質するわけであります。(「夫婦別姓を考える(講演)」『法の苑』第50号、2009年5月、日本加除出版)

小池氏はそれゆえに選択的夫婦別姓制は、個人の選択の問題ではなく、つまり「別姓を名乗りたいという人だけがそうするのであって、夫婦全部が別姓になるべきだといっているわけではない。同姓を希望して結婚するという人は、それで結構だ。ただ、自分は別姓でいたいのだ。だからそれに干渉するな、という論理」は「実は、これも正しくないのです」とし、「一国の制度のあり方として国民全員が議論する事柄であるわけです」と述べている(同右)。

少々解説しよう。現行の夫婦同姓の制度は戸籍制度と一体のものだ。結婚すると夫婦で新しい戸籍をつくる。子供が生まれたり、養子を迎えたりすると、その戸籍に登載される。夫婦とその間の子供という「家族」が一つの戸籍に登載されるのだ。その家族の共通の呼称が姓(法律上は氏)ということになる。しかし、別姓を認めると、一つの戸籍の中に二つの姓(氏)が存在することになる。共通の姓(氏)は存在しない。つまり家族の呼称を持たない家族が存在することになるのだ。これを制度として認めると個々人の姓(氏)はもはや家族の呼称ではなく、個人の呼称の一部となる。家族の氏は廃止されるということだ。当然、これは同姓の家族にも及ぶ。制度として家族の呼称としての姓(氏)が廃止されたのだから、同姓夫婦・親子にも家族の呼称はなく、氏名の一部が共通しているに過ぎないことになる。これが「制度としての家族の氏は廃止せざる得ないことになる。つまり、氏というのは純然たる個人をあらわすもの、というふうに変質する」ということだ。それゆえに別姓を希望する人たちだけの問題ではなく、「一国の制度のあり方として国民全員が議論する事柄」であるということになる。

判決は、以上のような氏名の法的性格の変質を避けたのだ。ただ、結婚に伴う改姓による不利益は以下のように認めている。

氏を改める者にとって、そのことによりいわゆるアイデンティティの喪失感を抱いたり、従前の氏を使用する中で形成されてきた他人から識別し特定される機能が阻害される不利益や、個人の信用、評価、名誉感情等にも影響が及ぶという不利益が生じたりすることがあることは否定できず、特に、近年、晩婚化が進み、婚姻前の氏を使用する中で社会的な地位や業績が築かれる期間が長くなっていることから、婚姻に伴い氏を改めることにより不利益を被る者が増加してきていることは容易にうかがえるところである

しかし同時に「夫婦同氏姓は、婚姻前の氏を通称して使用することまで許さないというものではなく、近時、婚姻前の氏を通称して使用することが社会的に広まっている」とし、「上記の不利益は、このような氏の通称使用が広まることにより一定程度緩和され得る」として憲法13条の個人の尊重や同24条の婚姻の自由を侵害するほどのものではないとして退けている。結婚に伴う改姓による不利益は、旧姓の通称使用の普及によって緩和されており、これは民法の問題ではなく、別の政策的な措置の問題であることを示唆するものだ。

さらに判決は、夫婦同姓が親子同姓でもあり、そのことによって家族の精神的な一体感を得られる効果についても「家族を構成する個人が、同一の氏を称することにより家族という一定の集団を構成する一員であることを実感することに意義を見いだす考え方も理解できるところである。さらに、夫婦同氏制の下においては、子の立場として、いずれの親とも等しく氏を同じくすることによる利益を享受しやすいといえる」と肯定的に捉える。これも判決が画期的である所以だ。寺田逸郎裁判官(裁判長、長官)は補足意見で夫婦別姓となった場合に子供の姓をどうするのかの問題にも言及している。夫と妻のどちらの姓を名乗るのか、どの時点で決めるのか、婚姻届提出時か、子供の出生時か、子供に選ばせるのか、複数生まれた場合はどうするのか、共通か、バラバラでよいのか、様々な問題が生じる。そこに双方の祖父母の利害が関わる。姓が決まらなかった場合、どう決定するのか、仕組みはどうするのか、精緻な制度設計が必要となる。当然、既に結婚している夫婦やその子供をどう扱うかという問題も生ずる。妻や夫が別姓を希望し、同時に子供の姓をどうするのかという問題が各家庭で生ずる。大混乱は必至だ。判決はこれらの問題を全て回避した形となった。賢明な判断だ。

判決が、選択的夫婦別姓制について「そのような制度に合理性がないと断ずるものではない」とし、「この種の制度の在り方は、国会で論ぜられ、判断されるべき事柄にほかならないというべきである」としたことから、一部に国会に積極的な立法が託されたものと評価する向きもある。しかし、これは、権力分立の考えに基づいて、裁判所は国会の立法権を侵すような事実上の立法行為については抑制的であるべきとする「司法消極主義」の立場を示したもので、国会に積極的な立法を促したものではない。恣意的に理解してはならない。私は判決の1カ月前に最高裁に「司法消極主義」の立場を取るよう「最高裁には国会の立法権を脅かす越権行為は慎み、国民の大多数が納得する賢明な判断を求めたい」(産経新聞「正論」欄、2015年11月17日付)と釘を刺したが、結果は、この点を含め高く評価すべきものだった。

■再婚禁止期間と自由の要諦

次に女性の再婚禁止期間についての判決だが、冒頭にも述べた通り、「違憲」判決を下した。ただし、現行の6カ月を違憲とするもので、再婚禁止期間を設けていること自体には合理性があるとし、100日を超える部分について「違憲」としたに留まる。6カ月を100日に短縮することを求め、国会は今後、その方向での民法改正をすることになる。

判決は再婚禁止期間を設けている立法目的について「女性の再婚後に生まれた子につき父性の推定の重複を回避し、もって父子関係をめぐる紛争の発生を未然に防ぐことにあると解するのが相当であり」、「父子関係の早期に明確になることの重要性に鑑みると、このような立法目的には合理性を認めることができる」とする。再婚禁止期間を設けている趣旨は生まれた子供が前婚の夫の子か、後婚の夫の子かについて混乱が生じないようにするためだということだ。

民法は「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する」(772条1項)、「婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取り消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する」(同2項)と規定する。

この中で重要なのは「推定する」という文言で、国(法律)としてはあくまで夫の子と「推定する」に留まり、真実に夫の子であるかには関与しない。結婚している間に妻が宿した子供は夫の子であるだろうと「推定」し、夫婦の秘め事に国家は介入しない。これは自由社会の要諦だ。

古代ローマ以来の法格言に「法は家庭に入らず」というものがある。家庭内の問題については法が関与せず自治的解決に委ねるべきという考え方をいう。これは民法の協議離婚制度(当事者の合意があれば、裁判所の関与なく、届出のみで離婚できる制度)や刑法の親族間の特例(窃盗、詐欺、横領などで夫婦や一定の親族には刑が免除される)などで具体化されている。「嫡出推定」規定も発想は同じだ。国家は夫婦の寝室で何があったか知ることはないし、知ろうとしてもならない。真実に夫の子であるかどうかについては詮索せず、夫の子であるだろうと「推定」し、その上で、早期に法律上の父親を決め、父親とされた男性に子に対する監護養育の義務を負わせるという趣旨だ。男は自分の子供が生まれても父親の実感が直ぐに湧くというものではない。育てている内に徐々に父親となっていく。これは女性との決定的な違いだ。父親としての責任を放棄する者もいる。それゆえ法は「これがあなたの子供であり、あなたには監護養育の義務がある」とし、責任を負わせるのだ。法はまた、法律上の父親と生物学上の父親が必ずしも一致するものではないことを織り込んでもいる。両者がずれる場合もあることを承知の上で法律上の父親に監護養育の責任を負わせる。要するに生まれた子供の福祉を図るために法律上の父親を早期に確定させ、監護養育の義務を負わせるのが法の趣旨なのだ。

■家族を揺るがすDNA検査

再婚禁止期間の設定が嫡出推定に混乱を生じさせないことに趣旨があるとするなら、現在の医療や科学技術のレベルでは再婚禁止期間を設けなくても可能であるとの指摘もある。子の父親は誰なのかをDNA検査ではっきりさせればよいという主張だ。判決は当然、この点も検討している。判決はこれについて「しかし、」としながら、次にように続ける。

そのように父子関係の確定を科学的な判定に委ねることとする場合には、父性の推定が重複する期間内に生まれた子は、一定の裁判手続等を経るまで法律上の父が未定の子として取り扱わざるを得ず、その手続を経なければ法律上の父を確定できない状態に置かれることになる。生まれてくる子にとって、法律上の父を確定できない状態が一定期間継続することにより種々の影響が生じ得ることを考慮すれば、子の利益の観点から、上記のような法律上の父を確定するための裁判手続等を経るまでもなく、そもそも父性の推定が重複することを回避するための制度を維持することに合理性が認められるというべきである。

判決は早期に法律上の父親が確定できない状態が続くことが子供の利益の面で問題あるとしてDNA検査導入による再婚禁止期間の廃止を退ける。この程度に留めているが、DNA検査で父親を確定するようなことなれば、家族関係は大きく動揺する。子供が生まれて幸せな時期に夫の両親や親族が本当に夫の子かどうか調べるよう言い出すような事態を招きかねない。子供が生まれる度に科学的に生物学上の父親を判断する社会は健全ではない。子供を産む女性への人権侵害でもあろう。DNA検査で数代前からの親子関係、親族関係が覆される可能性もある。影響は相続にも及ぶ。DNA検査の導入には慎重であるべきだ。

■子供を産み、育てる制度として

再婚禁止期間は嫡出推定を混乱させないための措置で、女性にのみあるには女性にしか妊娠・出産ができないからだ。そうであるなら、あらかじめ妊娠・出産を前提しない結婚や妊娠していないことが確実な場合であっても前婚と後婚の間に禁止期間を設けなければならないのはなぜなのか。

この点について、櫻井龍子、千葉勝美、大谷剛彦、小貫芳信、山本庸幸、大谷直人の6人の裁判官が共同の補足意見で、従来の戸籍実務においては、前婚の夫と再婚の場合、夫の3年以上の生死不明を理由とする離婚判決によって前婚を解消した場合、女性が懐胎することができない年齢(67歳)である場合、3年前から音信不通状態にあり悪意の遺棄を理由とする離婚判決によって前婚を解消した場合などにおいて、再婚禁止期間内の婚姻届を受理してよい旨の取り扱いがされていることに触れ、女性が不妊手術を受けている場合や前婚の解消の時点で懐胎していない場合なども同様に扱っても差し支えないとして、再婚禁止期間の適用除外を認めることに言及している。木内道祥裁判官も賛意を示している。

鬼丸かおる裁判官はさらに進んで、こう違憲無効を主張した。

父性の推定の重複回避のために再婚禁止期間を設ける必要にある場合はごく例外であるのに、文理上は前婚の解消等をした全ての女性(ただし、民法733条2項に規定する出産の場合を除く。)に対して一律に再婚禁止期間を設けているように読める本件規定(八木注・民法733条1項)を前婚の解消等の後100日以内といえども残しておくことについては、婚姻をする自由の重要性(中略)に鑑みると、国会の立法裁量を考慮しても疑問である。(中略)男性の取り扱いとの間に差別を設けた本件規定には合理的な根拠はないというべきである

山浦善樹裁判官も「かねて『父性推定の衝突を避けるという法技術的な理由に名を借りて女性を規制している』と批判されているが、私も、これと同じ考えから、多数意見に賛同できない」とし、「私は、この子にとって最初で最後となるこの機会に、最高の科学技術を活用して真実の父を定めることこそ本当の子の利益になるものと思う」と、DNA検査の導入により再婚禁止期間を設ける必要はないと主張している。

このような反対意見がありながらも多数意見が一律に女性に再婚禁止期間を設けることの意義を説いているのは、直接の言及はないものの、結婚(婚姻)とは、そこにおいて子供を産み、育てるための制度として構築されたものとの認識があるからではないかと思われる。父性の推定をいい、それが混乱しないことを強調するのはそのためではないか。

人間関係には様々なものがある。他人と他人との関係では同性、異性を問わず、友人関係、職場の同僚、師弟関係、趣味の同好などがある。異性間では恋愛関係もあれば、同棲、内縁、事実婚の関係もある。そんな中で男女の法律上の結婚(婚姻)関係だけが制度として特別の保護を受けている。結婚すれば、夫婦は同一の戸籍に登載され、共通の姓を名乗る(民法750条)。同居・協力・扶助義務を課され(同752条)、貞操を守る義務もある(同770条)。婚姻費用を分担し(同760条)、日常の家事に関する債務については連帯して責任を負う(同761条)。配偶者が亡くなれば、その財産の半分を法定相続できる(同900条)。

男女の婚姻だけが優遇されるのは、そもそも婚姻(結婚)は子供を産み、育てるための制度として構築されており、子供を健やかに育てるためには夫婦が一体となって協力しなければならないことから、その関係を守り、制度として優遇しているのだ。さらに、結婚は、そこにおいて次世代の国民や労働力、社会保障の担い手を産み出し、育てるがゆえに国としても優遇策を打ち出しているのだ。結果として子供が生まれない夫婦や、子供を産むことを選択しない夫婦もある。しかし、婚姻制度は原則として子供を産み育てるためのものとして構築され、それゆえに保護されている。判決は直接の言及はないもののこのような認識を暗に示しているようにも思える。画期的というのはそのような意味でもある。

判決は、2年前の非嫡出子の法定相続分の大法廷決定(平成25年9月4日)で強調された「婚姻、家族の在り方に対する国民の意識の多様化」や、国連の委員会からの民法改正するようにとの勧告にも言及することはなかった。最高裁としての見識が示されている。

なお、山浦善樹裁判官(弁護士出身)は、夫婦同姓、再婚禁止期間の両判決ともに多数意見に反対して全て憲法違反とし、ただ一人、長期にわたって民法を改正しなかった国会には立法不作為があったとして国家賠償の対象とする見解を示している。突出した内容だ。退官間近だが、内閣には後任人事を慎重に行うよう求めたい。

【八木秀次】
昭和37(1962)年生まれ。早稲田大学法学部卒。同大学院政治学研究科博士課程中退。専攻は憲法学、思想史。高崎経済大教授などを経て現職。日本教育再生機構理事長。教育再生実行会議提言FU会合、法制審議会民法(相続関係)部会の各委員。『憲法改正がなぜ必要か』(PHPパブリッシング)など著書多数。


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