source : 週刊新潮 2014年10月2日号掲載(1) (ボタンクリックで引用記事が開閉)
イデオロギーに帰依した記事を結論ありきで書いているからだろう――。朝日新聞の一連の誤報の原因をそう見るムキは、社内報に載ったこのコラムを読めば、得心が行くのではないか。
もっとも、9月11日の謝罪会見で、木村伊量社長は改めて、【事実に基づく報道を旨とするジャーナリズムとして、より謙虚であるべきだった】【初心に帰って、何よりも記事の正確さを重んじる報道姿勢を再構築いたします】と述べた。
実際、読者は事実に基づく正確な報道こそを求めているに違いないが、ここに全文を引用するコラムは、そんな読者への残念なお知らせと言うほかない。それは夕刊のコラム「素粒子」担当の真田正明論説委員による「7月分の講評」で、タイトルは【河の向こう】。
「社内のポータルサイトに8月28日にアップされたもので、7月の記事についての講評ということになっている。読むためには社員カードと社員番号、パスワードが必要です」
と言うのは朝日の中堅社員で、コラムはこう始まる。
朝日新聞の慰安婦報道の検証を受けて、産経新聞のヒステリックな反応はある程度予想がついたが、驚いたのは読売新聞である。検証紙面の翌日に朝日の論点のそれぞれについて批判する特集を組んだ。それ以後もこの両紙は、朝日新聞が慰安婦問題をつくったかのような批判や攻撃を続けている。
安倍政権ができて20カ月である。その間に政権と同調するメディアと批判的なメディアの分断が進んできた。その谷間はもはや埋めようもないところまで来てしまったように見える。
唖然とさせられるのは、慰安婦誤報を批判した他紙への居丈高な態度で、哲学者の適菜収氏も呆れる。
「【慰安婦問題をつくった】のは間違いなく朝日新聞で、問題は“つくり方”が虚に基づいていた点なのに、それを未だに理解していないフシがある。それから、朝日の慰安婦誤報問題と、安倍政権に対するメディアの報道姿勢が同列に論じられていますが、両者はまったく異なる問題です」
引用を続ける。
昨年5月のことである。東京ドームでの国民栄誉賞の授賞式は長嶋と松井の師弟同時授賞で沸いた。それはまた読売と安倍政権の二人三脚ぶりを目に見える形で教えてくれた。授賞式のあとの始球式で、長嶋が投げ、松井が打つ。審判に入った安倍首相は巨人のユニフォームを着て、その背中には当時改正を狙っていた憲法条文にちなむ96番があった。おそらくその光景を、渡辺恒雄会長は貴賓席で満足げに眺めていただろう。96番は96代目の首相だという理屈もあるが、安倍首相自身「私は96代首相で、96条改正を目指す」と当時言っていた。
その2週間ほど前、安倍首相は読売の単独インタビューで、憲法96条の改正を打ち上げている。秘密保護法、集団的自衛権、エネルギー政策、あらゆる場面で読売は安倍政権の露払い役を果たしてきたように思える。先日は「石破幹事長交代へ 首相 安保相起用の意向」と1面トップで打った。私は政治を取材したことはないが、これを見て読売は与党でも自民党でもなく、安倍政権のコアな部分と直結しているのだと思った。
読売を露払いとすれば産経は太刀持ちか。後ろから「もっと前へ。もっと勇ましく」と叫んでいる。日経は2紙よりは是々非々のようにも見える。しかし、先日のGDPの記事がその性格を表している。4~6月のGDPが6・8%と大きく落ち込んだのを受けた1面の見出しが「景気穏やか回復続く」だった。ちなみに同じ日の朝日の見出しは「再増税 消費の回復カギ」である。大企業に恩恵をもたらすという点で日経はアベノミクスを支え、やはり安倍政権としっかり歩調を合わせている。
主義主張は違えどこちら側にいるかと思っていた他紙の幾つかは、すでに向こう岸にいる。そこには安倍城がそびえている。そこに批判はなく、「美しい日本」「強い日本」の心地よい調べも流れている。居心地のいい城に「世界が称賛する日本」「すごい日本」と、にわか作りの旗印を掲げて駆け込む地侍たちもいる。中韓は放っておけばいい。それ以外の世界は日本の味方だと、城主と一緒に美しいナショナリズムの夢を見ようという人たちだ。そんなタイトルの本が売れているという東京新聞の記事が載った同じ日、読売は「スゴイジャパン」国民投票の特集をしていた。
■「勝手にチーム分け」
かつて「素粒子」を担当した、元朝日新聞論説委員の轡田(くつわだ)隆史氏は、
「ユーモアも諧謔もないし、ただ自分の主張を連ねただけの駄文ですね」
と断じたうえで語る。
「ジャーナリストは人の批判をするだけに、自分が批判されたらそれを受け止める義務がありますが、この筆者は批判を受け止めているとは言いがたい。それに、時の権力の監視がメディアの役割で、いいことをすれば評価し、問題があれば疑問を呈するのが正しい姿なのに、これでは批判するだけ。こういう偏った姿勢には違和感を覚えます」
また、適菜氏も、
「【こちら側】【向こう岸】などと勝手にチーム分けし、まさに“素粒子”のように小さな自分たちの世界を守ろうとしているようにしか見えません。もはや思考停止状態で、バカだねえとしか言いようがない。イデオロギーで固まってしまうと、物事が正しく見えなくなるという証左でしょう」
と指摘する。続いて、
向こう岸はもはや戦前のような別の世界になってしまったかのようだ。それを批判すれば、こちら側には自虐、反日、売国といった矢が飛んでくるだろう。このままみんな向こう側に取り込まれていくのだろうか。
清沢洌の「暗黒日記」の1944年2月6日にこんな記述がある。米軍がマーシャル諸島に上陸した直後の話である。「どの新聞もが『元寇の乱』以来の大問題として総蹶起を第1ぺージ以下に掲げている。頭山満を『朝日』はかつぎ、徳富蘇峰を『毎日』がかつぐ」。
なんのことはない。当時は朝日も毎日もいわば向こう岸にいたのである。いまが戦前と違うのは、こちら側がしっかりとあることだ。朝日も毎日も、東京もこちら側にいる。地方紙の多くもそうだろう。そしてどんなに向こう岸が賑やかでも、国民の多くはまだこちら側にいると私は信じている。
コラムはこう締めくくられる。
麗澤大学の八木秀次教授が喝破する。
「自分たちの立場をはっきりと決めたうえで、イデオロギーが先行し、安倍政権と対立するという立場を明らかにしています。そもそも、世間が戦前を目指しているとは思えないし、誰もそんなことは望んでいない。これはもう信仰です」
要するに、朝日新聞には事実と真摯に向き合うつもりなど、毛頭ないのだ。【こちら側】に立ち、敵意むき出しに【向こう岸】を眺めて、どうして事実に基づいた正確な報道ができようか。そうした姿勢が誤報や捏造の温床になっても、なんら不思議ではない。
元朝日新聞編集委員の川村二郎氏が言う。
「真田君は京大アメフト部出身の、朝日には珍しいスマートな男で、好感を持っていたので、がっかりです。こうやって【向こう岸】などとレッテルを貼って、相手にするな、なんてどうかしています。それに、【国民の多くはまだこちら側にいると私は信じている】というのは、正気の沙汰ではないでしょう」
絵に描いたような裸の王様だ。川村氏は、
「若い記者から“有志を募って、報道局長宛てに抗議文を提出しようとしています”と連絡が来ました。もう180人の署名が集まったそうで、朝日の内部からこういう声が上がるのは、初めてでしょう」
とも証言するが、【こちら側】にそびえる筋金入りのイデオロギーの城を落とすのは、容易ではなかろう。
従軍慰安婦を「(北朝鮮)拉致被害者」と同列に論じた「緊急勉強会」
source : 週刊新潮 2014年10月2日号掲載(2) (ボタンクリックで引用記事が開閉)
慰安婦誤報で、日本人の名誉は取り返しがつかないほど毀損された。それでも朝日新聞は、反省するどころか、新たな論理で社員を“洗脳”してまで、慰安婦問題を煽り続けたいようだ。
9月21日の昼すぎ、東京築地の朝日新聞東京本社新館には、日曜日なのに記者が続々と入っていった。ただし、彼らの所属はほぼ東京社会部にかぎられた。集まったのは50人前後で、そのひとりの中堅記者が言う。
「木村社長の謝罪会見の数日後、メールが届きました。人事異動の際に会社側が社員に説明をしたりする部会を利用して、従軍慰安婦の勉強会を行なう、という知らせでした。ここまで緊急の部会は初めてですね」
で、その目的だが、
「現場の記者は今、警察や永田町の関係者と顔を合わせるたびに“おたくの社長は何を考えているのか”と言われ、事件現場でも“あんたの会社のほうが問題じゃないの?”などと、露骨な取材拒否に遭っています。そんな中、現場の記者向けのガス抜きという色合いが濃かったと思います」
13時から18時まで5時間におよんだ勉強会の講師は、8月5、6日の慰安婦報道の検証記事に関わった社会部の豊秀一次長と、北野隆一編集委員。ただ、最初の1時間だけは、「吉田調書」の誤報で解任された東京本社の前報道局長の市川速水氏と、前編成局長の渡辺勉氏も出席し、集まった記者から矢継ぎ早の質問を浴びた。
「質問は“なぜ検証記事で謝罪しなかったのか”“この件をどう教訓にしていくのか”“池上彰さんのコラムの掲載見送りは誰が意思決定をしたのか”など多岐にわたりましたが、ふたりは、のらりくらりと言い逃れていましたね」(同)
その後、3時間半を超える“講義”が始まり、
「プロジェクターまで使って、慰安婦問題の歴史的経緯から、強制連行における“狭義”や“広義”の意味まで、細かな取材経緯を聞かされました」
そう話すのは先の記者だが、別の若手記者に尋ねると、聞き捨てならない話が次々と飛び出すのだ。
■ケジメをつけたつもり
「強制連行についてはこんな説明でした。旧日本軍が組織的に、人さらいのように女性を連行したという証拠はない。しかし、軍の意向を受けた売春業者が甘言を弄して女性を騙し、慰安婦にしたケースはあったと推認でき、女性が自分の意思に反して慰安婦にされる強制性はあったと思われる、と。そのうえで、北朝鮮の拉致問題と比較したのです。同じ拉致被害者にも、横田めぐみさんのように無理やり拉致されたケースも、有本恵子さんのように騙されて連れ去られた場合もある。慰安婦は後者に近いのではないか、と言うわけです」
これに呆れ返るのは、現代史家の秦郁彦氏で、
「北朝鮮の拉致は、すべて金正日の命令で行なわれました。それを慰安婦問題と対比するならば、日本軍の命令で慰安婦を連行したという事実がなければなりません。しかし、朝鮮半島にかぎれば、慰安婦の大多数は朝鮮人の女衒(ぜげん)、つまり業者によって徴募されたのです。そして、業者と慰安婦やその親との間で契約が結ばれ、それとは別に業者と軍との間で契約が結ばれた、軍と慰安婦の間に直接の関係はないのです」
前出の八木教授も言う。
「朝日新聞は、慰安婦を集めた民間業者も軍の管理下にあった以上、国家の意志による拉致と一緒だと主張したいのでしょう。しかし、販売店が不祥事を起こしたとき、朝日新聞社は責任を取りません。朝日自身が、新聞社の社員が起こしたことと、販売店の従業員が起こしたことを区別しているじゃないですか」
同じ記者に勉強会の話を続けてもらうと、
「吉田証言については、1997年に検証した際、【真偽は確認できない】という表現に止まったが、社としてはケジメをつけたつもりだった、と話していた」
このほか、慰安所への軍関与を示す資料が見つかったという記事が、92年の宮沢首相訪韓の直前に掲載されたのはたまたまで、植村隆氏の記事も、意図的な事実関係の捻じ曲げはないと結論づけたという。
再び秦氏が言う。
「こんな説明で朝日の記者は納得するのですか。この問題に関するほかの新聞や週刊誌、月刊誌の記事を読めば、慰安婦の政治性の問題も、植村隆記者の問題も、朝日の説明がおかしいとすぐわかるはずです」
だが、彼らは読んでも理解できないのだろう。なぜなら、それらは【向こう岸】の媒体だから。
世界ではホロコースト並みの戦争犯罪「慰安婦」国の損害額
source : 週刊新潮 2014年10月2日号掲載(3) (ボタンクリックで引用記事が開閉)
あろうことか、「慰安婦」は、いまや世界でナチスのホロコーストに準ずる戦争犯罪に位置づけられてしまっているという。「大虚報」の罪深さは、およそ計り知れないが、わが国が被った損害はどれほどの額になるのか。
朝日新聞が、吉田清治なる詐話師のホラ話を蔓延させたために、慰安婦すなわち性奴隷という誤った認識が世界中で定着してしまっている。
「ホラ話がホラ話を呼んで、もはや妄想の世界です」
と解説するのは、国際政治学者の藤井厳喜氏だ。
「韓国の反日団体などは、慰安婦の人数を20万人どころか、50万人だと主張している。さらには、強制連行があったかどうかの検証などはお構いなしで、日本兵は慰安婦を虐殺し、その人肉を喰っていたなんてことも言い始めました。結局、慰安婦問題はもう一つのホロコーストだと世界に喧伝し、国際問題化を図ろうとしているわけです。それもこれも、朝日が慰安婦の誤報を放置していたことが根本的な原因です」
朝日はようやく“吉田証言”報道を取り消したものの、時すでに遅し。日本は性暴力犯罪者の国だと見られ続けている。
■国際的な信頼回復
事実、今もって全米に建てられた7つの慰安婦像・碑は撤去されていない。なおかつ、9月20日にカナダのウィニペグ市にオープンした国立人権博物館では、ナチスのホロコーストなどと並んで、旧日本軍の慰安婦制度が残虐行為の一つとして展示されている。
史上最悪の戦争犯罪とも言われるホロコーストの歴史を抱えるドイツは、これまでに莫大な補償金を支払ってきた。
金沢大学の仲正昌樹教授によれば、
「第二次大戦中、ナチスは約600万人のユダヤ人を虐殺したとされています。戦後、西ドイツはナチスによる“人道に対する罪”を認め、後継国家としての責任を果たすべく、“連邦補償法”を制定しました。さらには、国際協定にも基づき、ホロコーストの生存者、あるいは、死亡している場合は遺族に補償を行ったのです」
東西統一後もそれは続けられ、現在のレートで7兆7000億円近い金額が、ホロコーストの被害者である約220万人のユダヤ人の手に渡されているという。
慰安婦問題がホロコースト並みの戦争犯罪だと見做されているならば、日本が国際的な信頼を回復するためにはドイツと同じくらいの補償金を差し出さねばならない計算になる。消費税3%分にも相当する凄まじい金額だ。
京都大学の中西輝政名誉教授はこう語る。
「その責任を取ろうにも、一企業の朝日が取れるわけがない。せめて世界に向けて間違いを謝罪し、そのうえで日本政府に“河野談話”の撤回を要望したらどうか。誤報を撒き散らした張本人が、率先して捻じ曲がった歴史を糺すのが筋です」
朝日が背負うべき十字架は、本来は途轍もなく重い。
新聞顔負け「慰安婦」を煽った「朝日ジャーナル」「本多勝一」
source : 週刊新潮 2014年10月2日号掲載(4) (ボタンクリックで引用記事が開閉)
全共闘運動華やかなりし時代、若者に圧倒的人気だった『朝日ジャーナル』(1992年休刊)。朝日新聞社発行のメディアで最もラディカルだったが、慰安婦問題を取り上げている。もちろんあの本多勝一記者(82)も。
89年、朝日ジャーナルに5月から15回隔週でこんな意見広告が載った。
【日本国は朝鮮と朝鮮人に公式に陳謝せよ】
広告主は“朝鮮と朝鮮人に公式陳謝を百人委員会”という団体で、元慰安婦などに補償すべきだと主張する。
「この組織は大分県に住む主婦が中心でした。主婦は、原告を探すためにこの年訪韓し、朝日ジャーナルの意見広告を韓国語に訳して配り、後に日本を訴える裁判を起こさせたのです」
とは、『よくわかる慰安婦問題』(草思社文庫)の著者で東京基督教大学教授の西岡力氏。
「今に至るまでソウルで続く、戦後補償を求める元慰安婦らの日本大使館前でのデモは、彼女が90年に再訪韓した時に行ったのがきっかけです」
韓国内で慰安婦問題に火をつけたのは、朝日ジャーナルの意見広告が事の始まりだった。その3年後の92年1月31日号には、
【従軍慰安婦l10番 続々寄せられた証言】
という記事が載った。“日本の戦後責任をハッキリさせる会(ハッキリ会)”という組織が、慰安婦についての情報を募り、朝日ジャーナルがその内容を掲載した。
【下関に滞在していた時のことです。同じ旅館に宿泊していた朝鮮人の若い女性数十人が泣いている(中略)「女子挺身隊として飛行機を作ったり鉄砲の弾をつくったりして、日本人と一体となって働けると喜んで日本に来たのに、これから南方に送られて慰安婦にさせられる」ということでした】
元少年飛行隊兵の証言だが、
「挺身隊と慰安婦を混同している。吉田証言を前提にしているのでしょう。信憑性は低い」(西岡教授)
■一人殺され一人輪姦
信憑性について、ハッキリ会のメンバーの一人も、
「検証するとしても、学者ではないし、あくまでそういう情報があったということです」
と言う。その程度の信憑性で記事を掲載したことになるが、92年3月13日号の「誘拐・殺人・逮捕・強姦・輪姦――『従軍慰安婦』の実態」という記事はどうだろう。本多勝一記者の書いた名物コラム『貧困なる精神』である。
【戦争中の日本軍が朝鮮人女性を「従軍慰安婦」として強制連行していた事件で、日本政府が今回示した態度は、毎度のこととはいいながら、呆然とさせられるほど破廉恥で卑劣で反国際的だった。あれほど公然とやっていたことに、物証がなければ軍の関与を否認して知らんぷりをきめこもうとしたのだ】
と書き、こう続ける。
【ここに従軍慰安婦の体験を引用しよう。これは今度の第七回ノンフィクション朝日ジャーナル大賞候補の一人・姜三恵さんの作品『花信』に登場する元慰安婦の女性の話である】
女性は、朝鮮・慶尚南道の小さな村出身で、18歳で結婚した。日本の巡査が村に現れ、若い女性を5人、8人とトラックで連れ去った。女性の番が来た。妊娠中だったが3人の巡査に引きずられ、釜山から南の島に送られて朝から晩まで日本兵の相手をさせられた。隣の小屋にいた14歳の娘は足に鎖を付けられ、日本兵の相手をさせられて、舌をかみ切って死ぬ。女性は20人近い日本兵を相手にした夜、流産した。
本多氏は続ける。
【『花信』には、自分の目前で従軍慰安婦用に二人の娘をさらわれようとし、一人が殺され、一人が輪姦された母親・趙順姫さん(八五)の告白もある――】
4人の日本兵が土足で家に入り込み、娘を強制連行しようとした。母親は抵抗したが、敵わなかった――。
西岡氏は言う。
「フィクションでしょう。元慰安婦として色んな人が名乗り出ていますが、こんなことを言っている人はいません。もし事実なら論争の行方が全て変わるほどの決定的な証言です。本多勝一という有名な記者が書くことで、世間は受け入れてしまう。重大な責任があると思います」
本多氏に取材を申し入れたが、窓口になっている『週刊金曜日』の担当者は、取材があったことも本人には伝えませんという。
「朝日新聞」8月は部数減に歯止めだった「ABC調査」の奇怪
source : 週刊新潮 2014年10月2日号掲載(5) (ボタンクリックで引用記事が開閉)
朝日新聞社の土台ともいえるASA(販売店)の動揺が止まらない。購読打ち切りは増え続けるのか、不安は募るばかりだが、8月のABC調査では販売部数の減少傾向に歯止めがかかった。しかし、8月といえば、誤報を認め朝日が炎上した月。そんなことってある?
怒りは少しも収まらない。
【「この1カ月間、怒りと不安を本当に感じた。一連の誤報は、読者の意識と本社の意識のズレからきているのではないか。本社は、読者と本社の間にあるASAの気持ちを分かってほしい。再生への道は厳しいが、速やかに誰にでも分かるような再建策を示してほしい」】(『新聞情報』平成26年9月20日号)
9月16日に東京本社・浜離宮朝日ホールで開かれた「出版ASAの会」総会で出た東京・多摩地区の店主の声だが、こんな異変も起きている。
「先日、本社の子会社、朝日サポートセンターからFAXが入りました。本社への苦情による購読契約の解約、つまり契約を交わした後の解約に際して、顧客を得るために動いている拡張団に払った成功報酬や洗剤などのサービス品の代金を、販売店に返金しますといった内容です。通常であれば、そういったお金は販売店と拡張団の間で精算されるものです。本社子会社が、本社への苦情を理由にした契約の精算に介入するわけですから、それだけ本社都合の解約が多い証拠ですよ」(別の店主)
■半月で5万部減
これらの状況から見ると、相当部数を減らしていると想像できるが、販売部数を公表している日本ABC協会の発表では、実は朝日新聞の販売部数は、7月が726万6866部で前月比13万222部減だが、8月は725万2277部と前月比1万4589部減と減少幅が相当に緩やかになっている。日本中から非難を浴びたというのに、どういうことなのか。
「毎月の“月別一覧表”は各新聞社からの部数の報告を頂いてそのまま掲載しております。それとは別に2年に1度、協会が新聞社に赴いて本社と販売店で調査したものを“公査レポート”としてまとめています」(ABC協会)
ということは、毎月発表される販売部数は自己申告ということになる。では、実際の数はどうなのだろうか。元毎日新聞常務の河内孝氏は言う。
「私が首都圏の販売店関係者から聞いた話では、朝日はあの検証記事以降、半月で実売5万部を減らしたそうです。関西地区では夕刊を止める人が急激に増えているらしい。ある業界紙には、販売店主の声として、今回の事件はサンゴ事件(89年)を遥かに超えて、毎日新聞が西山事件(71年)で40万部減らした時と同じような影響が出るのではないか、という話が紹介されていました。結果がはっきりと見えてくるのはもう少し先。11月か12月になってからでしょう」
毎日新聞の轍を踏むのか。
政治学者「櫻田淳」が提案する「朝日新聞」再生への道
source : 週刊新潮 2014年10月2日号掲載(6) (ボタンクリックで引用記事が開閉)
朝日新聞は誤報問題を契機に、単なる「リベラル・メディア」から脱皮を図るべき――。保守の論客として知られる東洋学園大学の櫻田淳教授が語りし、朝日新聞に相応しい「将来の自画像」とは何か。
朝日新聞に対する批判が止まない。「吉田証言」にせよ「吉田調書」にせよ、一旦、世に出た「誤報」は、それが「誤報」と判明した時点で直ちに訂正されなければ、それよりも遥かに有害な「虚報」になる。
現下の事態を前にして、朝日の社内の人々に問われるべきは、「将来の自画像」である。
「朝日が、どのような料簡の下に情報を世に伝えようとしているか」に、世の関心が集まる。「慰安婦虚報」もまた、「兎に角、日本のナショナリズムを抑える」という一つの料簡があればこそ、記事として世に出るに至ったからである。ただし、近時の朝日の論調からは、「将来の自画像」は浮かび上がってこない。もし、朝日の上層部が「平身低頭しながら『嵐』が去るのを待つ」思惑であるならば、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」の言葉で再び批判される事態の下地になろう。
私は、朝日が「『普通の国』のリベラル思潮やハト派姿勢」を体現するメディアに脱皮することを望んでいる。
そもそも、リベラル思潮が強い関心を払うのは、対外的には人権擁護や環境保護、さらにはナショナリズムの枠組を超えた民族、宗教上の「協和と寛容」の確保であり、対内的には貧困や社会格差の克服といった案件である。
そして、ハト派姿勢の特徴は、何らかの安全保障政策上の課題に際して、具体的な「力」の行使を抑制しようとすることである。
■信頼が剥落
リベラル思潮やハト派姿勢の受け皿となるメディアの役割は、日本が憲法9条改正を経て「普通の国」としての構えを手にした後で大事になる。朝日には、その役割を請け負うべき立派な理由があり、「『普通の国』のリベラル・ハト派メディア」こそ、「将来の自画像」として相応しい。
木村伊量社長が語ったように、「アジアの近隣諸国との相互信頼関係の構築をめざす」というのが、朝日の「信条」の一つ。しかしながら、たとえば中国は、対内的には少数民族を迫害し、対外的には「力を恃(たの)む」姿勢を露骨に表しつつ、周辺諸国との摩擦を激化させている。
中国の現状は、リベラル思潮の価値意識に照らし合せれば厳しい批判に値するはずだが、朝日は総じて鈍い反応だった。あたかも、「批判しないのが相互信頼関係の証」というような倒錯した姿勢が、紙面の論調に色濃く反映されていた。
朝日の論調に対する世の信頼が剥落しているのは、「リベラル・メディア」を標榜しながら、その流儀を徹底させていないからである。不徹底さを反省し、「『普通の国』のリベラル・ハト派メディア」への脱皮を図ることにしか、朝日の「再生」の途はない。
みのもんたの「朝日ズバッ!」は「責任の取り方が問題です」
source : 週刊新潮 2014年10月2日号掲載(7) (ボタンクリックで引用記事が開閉)
本誌は前号で、朝日の謝罪会見に関する作家の百田尚樹氏の見解を掲載した。記事のタイトルは、【「朝日新聞」うわべだけの謝罪を看破する!】。要は、謝り方を知らないというわけだ。では、この人は会見をどう見たのか。昨年、「謝罪」を巡り一悶着あった、みのもんた氏(70)の登場である。
「朝日の(木村伊量)社長が『辞めます』と言うのかと思ったら、『(改革の)道筋ができた段階で速やかに進退をお伝えする』と。何のための会見だったのかなと思いました。ああいう言い方は、朝日独特のものなのかもしれませんね。僕は、朝日は業界トップに君臨する新聞社だと思っていますが、そういう会社の社長は、おいそれとは辞めないぞという気持ちを持っていて、それが正直に出たのかな」
こう語り始めたみの氏。朝日の謝罪会見から遡ることちょうど1年前の2013年9月11日、彼の次男が窃盗未遂容疑で逮捕されると、身内の不祥事の責任を負うべきだとする「反みの派」と、成人した息子と親は関係ないとする「親みの派」が形成され、世論を二分する大騒動に発展した。
そんななか、彼はラジオで「私が世間を騒がせたつもりは全くない」と発言。これで「反みの派」は勢いづき、結局、みの氏は同年10月26日、正式に謝罪会見を開いた上で、自身がメインキャスターを務めていた報道番組からの降板を表明する事態となった。
身をもって「謝り方」が如何に難しいかを体験したみの氏が、時に指で机を叩きながら力説した。
「確かに、朝日の謝罪の仕方はどうだったのかとの問題はあります。僕の時も『謝り方が悪いから番組を降りろ』と言われ、じゃあどうすればいいのか聞くと、『とりあえず、カメラの前で土下座をしろ』と。実際、朝日が謝るタイミングは遅すぎたと思いますよ」
■「僕の時と違って…」
しかし、事の本質は次の点にあるとして続ける。
「どうやって国際的に根付いた悪しき日本のイメージを払拭していくのか。そのほうが重要。朝日の特派員が世界中を歩き回って訂正してくれるのかって話です。朝日の報道で日本人は傷つけられたんですからね」
謝り方より、責任の取り方に目を向けるみの氏。
「他社の報道を見ていても、これから朝日はどうあるべきなのかとの提言がない。例えば、『朝日の社員は全員頭を丸めて土下座しろ』とはメディアは書かない。『みのくん、番組辞めなさい』となっても、『朝日は、新聞発行止めなさい』とは、ほとんど書かれない。なんで、僕の時と違って朝日の場合はそういう議論にならないのかね。朝日という新聞がなくなるのを良しとするのか、もう一度立ち直るのを良しとするのか。所詮、朝日の一社長が辞める辞めないなんて小さい話です」
以上、みの氏による「朝日ズバッ!」。彼自身の謝罪会見を【評判がよろしくない】(13年11月22日付朝刊)としていた当の朝日は、みの氏の声をどう聞くのか。
虚報の被害者探しが始まった「対朝日訴訟」燎原の火
source : 週刊新潮 2014年10月2日号掲載(8) (ボタンクリックで引用記事が開閉)
言い訳に満ちた慰安婦報道検証記事で火に油を注いだのにとどまらず、謝罪とは名ばかりの開き直りの社長会見でさらに薪をくべ、「火事」を拡大させた「自爆朝日」。国民の怒りの炎は燃え上がる一方で、対朝日訴訟の動きも、燎原の火の如く広がり始めている。
全世界に32年間に亘って発信されてきた朝日の慰安婦虚報における「被害者」は、名誉と尊厳を傷付けられた全ての日本人である。1億総国民から「精神的苦痛を味わった」との声が上がるのも当然で、「対朝日100万人訴訟」の動きが起きていることは、既に本誌(9月11日号)で紹介した。
その中心的な役割を担っている日本文化チャンネル桜の水島総社長が語る。
「9月9日の夜に、ホームページで『朝日新聞を糺(ただ)す国民会議』への参加呼び掛けを開始しましたが、わずか10日間で8000人の署名が集まり、22日の時点で9600人に。2ヵ月で10万人、1年で100万人との目標を立てていますが、少なくとも50万人は集まると見ています。とにかく、訴訟参加者を1人でも多くして、社会現象にしたい」
また、台湾の日本統治を偏向報道したNHKを相手取り、かつて1万人訴訟を起こした原告側の主任弁護人、高池勝彦弁護士は、
「朝日の慰安婦虚報で受けた精神的な被害は、各人で異なります。例えば、韓国に修学旅行に行ったら、旅行代理店が朝日の記事をもとにして慰安婦関連施設ばかりを案内するので精神的に落ち込んでしまったとのケース。あるいは、漠然と被害感情を持っているという場合もあるでしょう」
とした上で、こう続ける。
「後者は負け覚悟で訴訟に加わってもらうことになりますが、それでも構わない多くの人が訴訟に参加することで裁判所と被告(朝日)にプレッシャーをかけられますし、原告のうち1人だけでも主張が認められれば、こちらの『勝ち』。判決に朝日の責任を明記させることが重要なんです」
■挺身隊という被害者
さらに、いわゆる「靖国訴訟」で、安倍晋三総理の靖国参拝を支持する側の代理人を務める徳永信一弁護士は、対朝日訴訟に向けてより「具体的」な被害者像を描いている。
「吉田清治氏は、戦中、山口県労務報国会下関支部に所属し、済州島で慰安婦を連行したと虚言を述べ、それを朝日が報道した。例えば、彼と同じ下関支部の関係者で、朝日の虚報によって自分たちは『人さらい』組織のように思われてしまったと訴える人、もしくは、朝日が慰安婦と混同したと弁明する挺身隊の中で、朝日報道の結果、『売春婦』としての扱いを受けて名誉が損なわれたという方。そうした具体的で直接的な被害を受けた方々であれば、朝日に対する訴訟を提起できると考え、検討しているところです」
一向に収まる気配を見せない虚報新聞社追及の「国民的運動」。偽りの十字架を背負った朝日に、いよいよ夕日が差し始めている。
0 Comments :
View Comments :: Click!!
0 Comments :
Post a Comment :: Click!!
コメントを投稿