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2014/03/02


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【高橋昌之のとっておき】朝日・毎日への反論(6)河野談話の正当性が崩れた石原証言に見解を示さないのはなぜか

 source : 2014.03.01 産経ニュース (クリックで引用記事開閉)

慰安婦募集の強制性を認めた平成5年8月の「河野洋平官房長官談話」について、当時の事務方トップとして談話の作成にあたった石原信雄元官房副長官が、2月20日の衆院予算委員会に参考人として出席し、作成過程を初めて公の場で証言しました。

この中で、石原氏は談話について、慰安婦を強制的に集めたことを裏付ける客観的なデータはなかったものの、韓国の元慰安婦とされた16人からヒアリングを行って、その証言の結果としての心証をもとに作成し、証言の裏付け調査はしなかったと明らかにしました。

つまり、石原氏は談話が「客観的な事実」ではなく、単なる「証言の結果としての心証」に基づいて作成されたことを認めたわけで、これによって談話の内容の正当性は崩れたと言えます。また、談話がその後、国内外に与えた影響を考えれば「極めて重大な証言」です。

当然、産経、読売両紙は2月22日付の社説で「元慰安婦の証言の検証」を強く求めました。しかし、それこそ慰安婦問題を熱心に報道してきた朝日、毎日両紙は、記事を掲載しただけで、社説ではいまだに見解を示していません。この報道姿勢には大いに疑問を感じますので、今回はこれをテーマに書きたいと思います。

河野談話は、慰安婦募集について「本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、さらに官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった」と明記し、当時の日本政府や軍による強制が事実としてあったことを認める内容となっています。

この点について、石原氏自身は答弁で「慰安婦の募集は主として業者が行い、その過程で官憲や軍が関わった可能性があるという表現になっている。日本政府や日本軍の直接的な指示で慰安婦を募集したことを認めたわけではない」との認識を示しました。しかし、それなら「官憲等が直接これに加担したこともあった」という談話の文言は明らかに間違っています。

石原氏の証言を受けて、産経新聞は社説で「事実より謝罪を優先した『虚構の談話』の検証と見直しをただちに行うべきだ。河野氏をはじめ関係者は国民に説明する責任を果たしてもらいたい」と主張し、読売新聞も社説で「河野談話の検証作業を急ぎ、誤りを正さねばならない」として、機密扱いとなっている元慰安婦の証言録の公開などを求めました。

これに対し、朝日新聞は2月21日付朝刊4面で「元慰安婦証言裏付けせず 元官房副長官が答弁」との記事を掲載しただけです。しかも、もう1本の見出しはカッコ付きで「官憲の関与は否定できず」としました。

石原氏は答弁で「募集業者に官憲が関わったことは否定できないということで、談話のような表現に落ち着いた」と当時の経緯について述べましたが、現在の認識については「日本政府・日本軍の直接的な指示で募集したことを認めたわけではない」と証言しました。

カッコ付きでこの見出しをとると、読者は石原氏が答弁で現在の認識として「官憲の関与は否定できない」と述べたと受け止めるのが普通でしょう。その点で読者をミスリードする可能性があり、私はいかがなものかと思いました。

毎日新聞の報道にはもっと問題を感じます。2月21日付朝刊1面で記事を掲載しましたが、その見出しは「政府 元慰安婦の調査検討 関係国反発の恐れ」というものでした。記事も冒頭で、菅義偉官房長官が答弁で、元慰安婦への聞き取り調査報告書の信憑(しんぴょう)性について「(検証を)検討していきたい」と述べたことを踏まえて、「菅氏の発言が河野談話の見直しに向けた動きと受け止められれば、関係国が反発する可能性がある」と指摘し、石原氏の証言は後半で他紙よりも簡略に触れられているだけでした。

この文脈からは、石原氏の証言のインパクトを薄めるとともに、「関係国が反発する可能性があるから、談話の検証はすべきではない」とクギを刺す思惑を見てとることができます。しかし、「客観的事実」ではなく、「証言の結果の心証」だけでまとめられたことが明らかになった談話について、作成過程を検証し、客観的な事実を踏まえて見直すことに何の問題があるというのでしょうか。

確かに韓国などは反発するかもしれませんが、客観的な事実として裏付けされなかった「官憲等の加担」について「あった」と日本政府が発表し、国内外でそう認識されていることの方がより大きな問題です。

石原氏は答弁の中で、談話作成にあたって「(日韓両政府間で)意見のすり合わせは当然行ったことは推定される」と証言し、韓国が現在、談話を反日攻撃に利用していることについては「当時の日本政府の善意が生かされていない」と述べました。

つまり、事実よりも日韓関係改善を優先して談話が発表されたというわけですが、そうした「虚構」による政治的妥協が結果的に、国益を損ない、外交的にも禍根を残すだけであることは、この間の慰安婦問題の経緯が如実に物語っています。

そもそも、私は河野談話が発表された政治的状況にも問題があると思っています。談話が発表された平成5年8月4日の時点で、自民党はその前の衆院選で敗北して下野し、細川護煕氏を首相とする非自民連立政権が樹立されることが確実になっていました。その観点から言えば、談話は政治的に無責任な状況で発表されたわけで、それにもかかわらず、その後の政権が韓国などの反発を恐れて、唯々諾々と継承し続けてきたのが実態なのです。

いずれにしても、今回の石原氏の証言で、河野談話の作成経緯に重大な問題があることが明らかになった以上、検証することは当然です。

そのためにはまず、河野氏を国会に参考人として招致することが必要です。自民党は「重い問題なので慎重に検討する」として応じていませんが、ここまで問題が明らかになった以上、国民が河野氏から直接、事実を聴きたいと思うのは当然のことで、招致に応じなければ批判の矛先は自民党に向かうことになるでしょう。

次に、産経新聞はすでに報道していますが、事実関係からみて不正確な点が多々ある元慰安婦の証言録も公開すべきです。政府は機密扱いとしていますが、読売新聞が指摘したように、現在も存命の元慰安婦の名前は伏せるなど、プライバシーに一定の配慮をすれば問題はないと思います。

さらに、韓国政府との「意見のすり合わせ」についても、日本政府の発表に対して韓国政府がどのように圧力をかけたか知る必要がありますから、当時の谷野作太郎内閣外政審議室長や外務省の担当者らを国会に招致すべきです。

ちなみに産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2月22、23両日に実施した合同世論調査では、「河野談話の調査のあり方や経緯を検証すべきだ」との回答が66・3%、「河野談話を見直すべきだ」も58・6%に上りました。国民の多くも河野談話に対してはすでに違和感を覚えていて、作成の経緯や事実を知りたいと思っているのです。

不思議なのは、特定秘密保護法について「国民の知る権利が失われる」と猛反対している朝日、毎日両紙が、河野談話の事実解明を求めていないことです。河野談話の発表はそれこそ、両紙がいつも批判する「密室政治・秘密外交の典型」であって、国民に経緯が全く知らされないままに行われたのではないでしょうか。両紙は河野談話に限っては「国民は事実を知る必要はない」とでも考えているのですか、と言いたくなります。

私だけでなく、この両紙の不自然で矛盾に満ちた対応には、すでに多くの国民が疑問を持っていることでしょう。今後も両紙が仮に見て見ぬふりのような対応をしても、ここまで事態が進んだら事実解明の動きは止まらないでしょうし、両紙に対する国民の批判は強まるのではないでしょうか。

「朝日・毎日への反論」シリーズも今回で6回目になりましたが、両紙に対してはまた同じことを呼びかけたいと思います。「国民の目の前で事実を明らかにし、そのうえでどうすべきか堂々と議論しようではありませんか」と。


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