source : 2012.08.29 現代ビジネス (ボタンクリックで引用記事が開閉)
世界を代表するテレビメーカーが、危機に瀕している。工場や首都圏の営業拠点を売却するリストラ策に走っているが、新しい「稼ぎ頭」はまだ見つからない。残された時間は、多くない。
■ハゲタカが狙っている
莫大な資金を元手にコンマ秒単位のトレードを繰り広げ、億単位の儲けを一瞬のうちに稼ぎ出す巨大外資。彼らが日本の電機メーカー・シャープに密かに「売り」を仕掛けている。
東京証券取引所が発表する空売り残高報告書に、その〝証拠〟がある。ドイツ銀行、モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックスが、シャープ株を大量に空売りしていることが直近の報告書に記載されているのだ。
3社の空売り分を合わせるとシャープの発行済み株式数の3・7%以上で、〝裏大株主〟といっていいほどの大量の売り。外資各社はシャープの株が下がるほど儲けが膨らむことになる。彼らはいま、シャープの株価が下がるほうに〝ベット(賭け)〟している。
それだけではない。さらにヤバい事態が進行している。値が高いほど〝倒産危険度〟が高くなるといわれるCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の数値を見ると、シャープのそれが信じられないほどの急上昇を描いている。
「シャープのCDSは8月頭くらいから急騰し、一時は1600bp(ベーシス・ポイント)をつけました。いまは多少落ち着いて1200bp程度ですが、それでも多くの企業のCDSは200bp以下、ソニーなどが300bp程度なのに比べれば異常な数字といえます。これを見る限り、市場はシャープの破綻を連想し始めているともいえるでしょう。半導体大手のエルピーダメモリが破綻した際も直前にCDSが大幅に上昇しました」(フィスコのアナリストである小川佳紀氏)
株価も下落を始めた。8月3日の東京株式市場で売り浴びせられると、〝ボーダー〟の200円を割り込み、一時ストップ安の187円まで値を下げたのだ。ちなみにシャープ株が200円を割るのは1975年1月以来。8月15日には再び164円まで急落下するなど、予断を許さない状況が続いている。
一体、シャープに何が起きているのか。
本誌はシャープの元副社長、常務、取締役などの幹部OBを中心に複数のシャープ関係者に取材を試みたが、一様に口が重い。「私に語る資格はない」と言うばかりでそれ以上一言も語ろうとしない者もいれば、露骨に居留守を使う者もいた。なにやら不穏な空気がシャープに漂っている。
■「一刻の猶予も許されない」
現在、シャープを率いるのは今年4月に抜擢された奥田隆司氏(59歳)。就任早々経営戦略を発表し、「中国での携帯電話事業の展開」「ロボット家電で新しい市場の開拓」などの改革案を打ち出したが、いまや「破綻説」が出るまで追い詰められている。
8月2日に行われた四半期決算発表会見では、「業績悪化に歯止めがかからない」「一刻の猶予も許されない」と奥田社長は苦しい胸のうちを率直に漏らした。
この日発表されたシャープの2012年4~6月期決算は市場関係者の予測を超えるひどい内容で、売上高は前年同期比で約3割減、最終損益にいたっては1384億円の赤字(前年同期は492億円の赤字)。同時に奥田社長は'13年3月期の連結業績予想を2500億円の赤字になると大幅に下方修正したうえ、従業員の約1割にあたる5000人規模の人員削減を行うことも明かした。
「4月末に業績予想を300億円の赤字としていたから、たった3ヵ月で2000億円が消えてなくなったということです。さらに同社が大規模な人員削減を断行するのも、無配に転じるのも実に62年ぶりです」(全国紙経済部記者)
奥田社長自身が「今リストラをやらないと将来の成長はない」と言うように、聖域にメスを入れなければいけないほどの危機にある。
数年前までは『アクオス』ブランドで液晶テレビを売りに売りまくり、「液晶一本足打法」で決算も絶好調だった。勢いに乗って巨額資金をつぎ込んで最新鋭の液晶パネル製造工場も作ったが、工場が完成した頃には液晶テレビの世界的な価格暴落が起きていた。
気づけば売っても売っても儲からない製品と巨大な工場、そして借金だけが残った。今春、最新鋭工場の稼働率はついに30%にまで落ち、工場労働者たちの仕事は激減した。稼働率が3割ということは、単純計算で10日のうち7日が休みという異常事態である。
売り上げ減に歯止めがかからない状況になっており、今年4~6月期のテレビ販売台数は昨年比でなんと半減。かつて世界一を誇った技術力でも、韓国・中国勢に遅れを取っている。
「いまやシャープの液晶テレビは、海外で韓国サムスン製品の3割引きでしか売れません。過剰設備、過剰人員、過剰負債の三重苦に悩まされている。経営者たちが現実を直視せず、楽観にすぎたツケが回ってきているのです」(早稲田大学教授の遠藤功氏)
追い詰められたシャープは資本提携に活路を見出そうとする。今年3月に台湾の巨大企業・鴻海精密工業との資本・業務提携を発表。これによって資本増強したうえ、製品を鴻海に引き取ってもらうことで工場の稼働率を上げようとしたのだ。
もはや「技術流出」などなりふりかまっていられないという決断だった。この提携をまとめたのは、町田勝彦・前会長と郭台銘・董事長の「トップ交渉」だったという。
これで一息ついたと思われたが、8月になって不穏な空気が立ち込める。
鴻海との提携の主な内容は
「(1)鴻海がシャープの株式を一株550円で約9・9%取得する」
「(2)最新鋭のシャープ堺工場に鴻海グループトップの郭台銘氏が個人で660億円出資し、共同運営とする」
「(3)堺工場で作る液晶パネルの半分を鴻海が引き取る」というもの。
(2)についてはすでに出資が完了、(3)もこの7月からスタートした模様だが、(1)については条件見直し交渉に入っているのだ。
「出資金は2013年3月までに振り込むことになっていたが、いまだ一円も支払われていない。提携が発表された3月には500円台だった株価が100円台に落ちたことで、条件見直しが必至になったからです」(前出・記者)
■決断が遅すぎる!
さらに事態を混乱させたのは、郭氏側が8月3日に「出資条件の見直しで合意した」と公表したのに対して、シャープ側が「そうした事実はない」とこれを否定したこと。これで「交渉決裂か」とマーケットに疑心暗鬼が走り、株の投げ売りを助長した。
どうしてシャープは否定したのか、事の真相は---。テレビや新聞はほとんど報じていないが、実は郭氏自身が地元メディアに赤裸々に語っている。台北科技市場研究(TMR)代表の大槻智洋氏がこう言う。
「郭氏が台湾のニュース専門チャンネル『東森新聞』や台湾紙『聯合晩報』の取材に対して語った内容によれば、8月3日にシャープの片山幹雄会長、町田前会長など幹部20名ほどが参加する会議が都内で開かれ、郭氏も出席。シャープの町田前会長から『1~2年後に(出資する際の)株価を改めて算定して、投資してもよい』という話が出たため、郭氏は条件見直しに関する公告をその日のうちに台湾証券取引所に出した。
しかし、シャープの奥田社長は都合がつかず大阪にいたのでその会議に出席していなかった。公告発表は同日17時過ぎで、シャープの幹部たちが大阪に戻ったのは夜10時過ぎ。公告が出るまでに奥田氏に連絡がいかなかった可能性がある。シャープ側が否定した背景にはそういう事情があったというのです」
郭氏の発言が事の真相だとすれば、シャープの情報伝達がうまくいっていなかったことが一連の騒動の舞台裏ということになる。郭氏はそれでも「共存共栄の関係を築ける」と提携に前向きな発言をしているというが、心中は穏やかではないはずだ。前出・大槻氏が続けて言う。
「郭氏は日本人を好きだと公言する親日家で、いままでFoxconn(鴻海のグローバル名)はシャープに対して特別扱いといえるほど友好的な態度で交渉に臨んできました。今回の提携においては、シャープが持つ研究開発や製品企画など〝上流工程〟の能力を吸収したいという思いも強く持っているが、シャープ側から相応の〝見返り〟が一向に出てこない。たとえばFoxconnはテレビ事業だけでなく、太陽電池ビジネスでもシャープの技術を活かした新商品を作りたいと考えているのに、シャープ側はどんな協力関係を築いていくのかの意思決定ができていません。
Foxconnの商品開発担当者が私に『シャープ担当にはなりたくない』と言うほど、シャープ側の対応は遅い。今後もシャープが具体的な〝見返り〟を提示できないとすれば、提携関係が解消になる可能性も出てくる」
いまや世界の名だたる企業はトップ外交を繰り広げ、即断即決でビジネスを進めている。プライベートジェットで世界を飛び回る郭氏は、シャープのスピード感のなさに苛立ちを強めているに違いない。
■3万人の雇用は守られるのか
シャープの奥田社長は今後の「経営改善対策」として「大口顧客受注を増やして工場の稼働率を上げる」「本社をスリム化して経営スピードを速める」などと掲げているが、「甘い需要予測でマーケットを欺いてきた経営幹部の言葉はもう信じない」(外資系証券幹部)と市場は売り攻勢を止めようとしない。今度は大手格付け会社スタンダード・アンド・プアーズがシャープの長期格付けをトリプルBに引き下げ、同ムーディーズ・ジャパンも短期格付けを1段階引き下げた。
「ムーディーズが出したレポートを読んで仰天しました。シャープの短期債務はこの3ヵ月間で約1000億円も増えて7000億円にまで膨らんでいます。さらに2013年9月に2000億円の社債の償還が必要になるが、この6月末時点の現預金が2177億円しかないという。
逐次投資を重ねて遅れを取った挙げ句に、乾坤一擲の巨額投資が失敗。その結果として資金繰りが厳しくなっているというのは、まさに日本経済の縮図のような財務状況といえる。これでは新しいことを始めようにもカネがなく、それがまたビジネス上で遅れを取るという悪循環に嵌りかねない」(ビジネス・ブレークスルー大学教授の田代秀敏氏)
現実味を帯びてきたシャープの「敗戦」。「いまシャープに必要なのは三つのことだ」と言うのはBNPパリバ証券投資調査本部長の中空麻奈氏。
「一つはどんな条件になっても鴻海との提携をまとめること。二つ目には市場が納得するリストラ策を発表すること。三つ目はメインバンクを中心にしたバックアップ体制が明らかになること。メインバンクはみずほと三菱東京UFJで、彼らは1000億円規模の資金をシャープに入れており、これが不良債権化するのは彼らにとっても好ましくないはず。この三つがクリアできれば、シャープがいますぐ破綻する理由は見当たらない」
逆に言えば、一つでも打つ手が遅れれば、いよいよ待ったなしになるということだ。しかも仮にこれらが実現できたとしても、時間稼ぎの〝対症療法〟でしかない。中国などの新興市場を新たに開拓したり、価格競争に陥らない新商品でヒットを飛ばすなど、「新たな稼ぎ頭」を作れなければ、危機から脱することはできないからだ。
「新興市場開拓や新商品開発に失敗すれば、中国企業などへ身売りするほかないでしょう。そうなった場合、乗り込んできた外国人社長がドラスティックなリストラを始めるのは確実で、工場近辺の地方経済も地盤沈下する。日本のハイテクメーカーの敗戦は心理的にも多大な影響がある。NECやソニーも他人事ではないでしょう。日産にルノーからカルロス・ゴーンが来て大鉈を振るったように、少なからぬショックが日本経済に走ることになる」(前出・外資系証券幹部)
仮にシャープが万が一のことになった場合、何が起こるのか。みずほや三菱東京にとって1000億円の融資が不良債権化するのは痛手ではあっても、銀行経営の危機に直結する額ではない。会社更生法の適用となれば、国内従業員3万人が全員解雇されることもない。日本経済に与える最も大きな影響は、「あのシャープが」という心理的ショックとなるだろう。
創業者・早川徳次が東京市本所区(現・江東区)の下町で金属加工業を始めたのが1912年。今年は創業100周年を華々しく飾るはずだったのに、見てきたような経営危機に堕ちてしまった。
ただ企業のDNAはまだ死んでいないはずだ。家庭用ビデオカメラ業界に旋風を巻き起こした『液晶ビューカム』、ビジネスマンが店頭に殺到して大ヒット商品となった『ザウルス』、世界の亀山モデルと絶賛された『アクオス』---。そのヒット史を振り返れば、世を驚かせ人々をワクワクさせた商品群が並ぶ。ソニー、パナソニックという二大巨頭に規模こそ劣れど、キラリと光る存在感を放ってきたのがシャープだった。
いま、シャープの起死回生の一手に、日本中が注目している。
シャープ元副社長の「遺言」 「いまの経営陣は会社のことより自分のことを考えている」
source : 2012.09.03 現代ビジネス (ボタンクリックで引用記事が開閉)
ついに主力行が2000億円超の追加融資を検討する事態になった。リストラ策で急場を凌ぐしかないシャープに、未来はあるのか。元幹部が本誌の独占インタビューに応じ、すべてを語った。
■オンリーワンはダメな考え
シャープ創業者の早川徳次さんが亡くなる間際、私は病床に呼ばれました。
「相手に真似されるような技術をどんどん作ってちょうだい」
それが僕が聞いた早川さんの遺言です。
シャープは鉱石ラジオを日本で最初に発売した会社です。テレビも電子レンジも他社に先駆けて世に出した。でも、しばらくすると圧倒的な販売力を持つ松下電器(現・パナソニック)に追い抜かれてしまう。
早川さんは悔しがっていたけれど、松下の後を追うことはしませんでした。
「真似されてもいい。真似されても、次々とライバルが真似したがる新商品を出していけばいい」
そう考えていました。それこそが当時のシャープの哲学だったんです。
だからいま、中国や韓国の企業に技術を真似されていますけど、本当ならそのことを喜ばなきゃいかんのです。その代わり、真似された方が死んだらあかん。トカゲの尻尾みたいに、切っても切っても後から新技術が出てくるような研究開発体制をとらないとね。
ところがあるころからシャープは液晶のヒットに気をよくして、「オンリーワン」という考え方を口にするようになりました。これは早川さんの「モノ真似されるような技術を作れ」という考え方と矛盾する。だって、オンリーワンの技術が一番いいんだと言うわけでしょう。本当なら「もっといいモノをまた作らにゃいかん」と考えなきゃいかん。世の中は変化していくんだから、オンリーワンにいつまでも固執しちゃいかんのです。早川さんの思想がいつのまにか消えてしまったんですね。シャープの経営がおかしくなり始めたのは、その頃からです。
いまシャープの命運は、出資を受けることになっている鴻海との関係がどうなるかにかかっています。ただ、鴻海との提携はかなり注意してやらないと危ないと見ています。
液晶の売り上げに依存する一本足打法があだとなって経営危機に陥ったシャープは今年3月、台湾の大手企業・鴻海精密工業との資本・業務提携を発表。資金繰りに目途をつけるはずだったが、シャープの株価下落が止まらないことから提携条件の見直しに入っている。主力行による追加融資が検討されるほど資金繰りに窮する中、市場では「シャープが鴻海に喰われる」との懸念の声も出ている。
シャープの電卓開発を指揮し、同社が世界有数のエレクトロニクスメーカーに成長する技術的基盤を築いた佐々木正氏(97歳)。若き日の孫正義氏に目をかけ、起業資金として銀行から1億円を借りる際の保証人になったことでも知られ、日本の電子産業史を語る上で欠くことのできない大立て者である。その佐々木氏の目に現在のシャープの苦境はどう映っているのか。
■鴻海といかに闘うべきか
台湾で育った私は、鴻海の郭台銘(董事長)さんの父親と小学校の同級生でした。お父さんも幼いころから優秀でしたが、彼は元々は外省人、中国の出身。だから息子の台銘さんも、中国本土に大工場を作って、そこでカネを蓄え、台湾随一の資産家になった。そして、儲けが出たら投資に回すという考えに徹している。
それに対して、現在のシャープの経営陣はリスクマネジメントが出来ていないように見えます。提携が不調に終わったときのことを考えていない。
たとえ鴻海の台銘さんとの信頼関係があるとしても、彼の部下や後継者が信頼できる人ばかりという保証はありません。利に目がくらむような人になる可能性もある。だから仮にそういう人が前面に出てきても、シャープが潰れないような組織を作らないといけません。
そもそも新技術は、投資があってこそ出てくるんです。儲かったら投資をしようというのは順序が逆なんです。新製品や新技術に対して自分なりの哲学があり、「これはいい」と思ったら、カネを借りてでも投資をしないといけない。だけど、外資に資本を握られるとそういう決断が出来なくなる恐れがあります。
相手が鴻海と言えども、その交渉はしっかりやらないといけません。ここからは鴻海とシャープの経営者の闘いですよ。「われわれの利益が、ひいてはあなたたちの利益になるんだ」と説得すればいいんですが。「俺たちの言うとおりにしないといかん」と上から抑えつけようとすると喧嘩になるでしょうし、ただおカネが欲しいという態度で臨んでもおかしくなる。
もっと言えば、自分が社長の時代だけをなんとかやり過ごして、後のことは後のやつが考えればいいと開き直るようでは困る。最近の経営陣にそんな考えがあるかのように見えることが非常に心配です。
そもそもシャープ創業者の早川さんは戦前、東京の下町でベルトのバックルやシャープペンシルを製造して成功したが、関東大震災で工場や家族まで失い、失意のうちに大阪に流れ着いた。そこで今度は鉱石ラジオのヒットをバネに再起したという不屈の人です。
一方、早川さんより22歳年下の私は戦時中に、逓信省の電気試験所に入り真空管の開発をしていましたが、上司の移籍に伴う形で川西機械製作所(後の神戸工業。現・富士通)に移って、軍事用のレーダーの開発なんかをしていました。戦後になると平和産業を、ということで、真空管やトランジスタを使ったラジオの開発などに携わりました。
戦後、アメリカの企業がレーダーの波を利用して電子レンジを発明しました。レーダーの研究をしていた私はその動向も知っていて、その様子を早川さんに話していた。すると「シャープでも電子レンジをやろうや」ということになった。それで電子レンジ関連の特許をいくつも取って、'62年に国産第1号の電子レンジを発売したんです。私はその2年後、誘われてシャープ、当時の早川電機工業に移籍しました。
その頃、こんなことがありました。シャープが発売した電子レンジがヒットすると、松下も乗り出さざるを得なくなりますわね。ところが電子レンジをやろうとするとシャープのパテント(特許)に引っかかる。それでも松下は電子レンジをやりたい。で、パテントを使わせてくれと正式に言ってきたんですわ。
■松下幸之助に「ハメられた」
そこでシャープでは早川さんを中心に、特許使用を許すべきかどうかと議論した。私は、日本の電機産業全体のことを考えて、「許すべきや」と言うたんです。ところが、私から名前を言うのは控えますが、後に社長になる当時の専務が反対だった。「敵に塩を送るようなことをするのはおかしい、だいたい君は入ってから生意気や」と。その上、別の営業担当役員も「この会社は俺が営業で稼いだカネで持っている。お前の研究もぜんぶ俺のカネでやっているんじゃないか」と言い出した。
私も譲らなかった。そうしたら専務は、こんな会議には出たくないと、席を立とうとしたんです。その時私は、初めて早川さんの怒った顔を見ました。「ちょっと待て。君はなんちゅうことを考えるんや」と。それで結局、松下に特許を供与することになったんです。
当時、日本の電機業界では早川さんと松下幸之助さんが両雄でした。二人は一緒にお茶を点てたりして仲は良かったけれど、競争相手でもあったんですね。
松下は気の抜けない相手ですよ。私がまだ川西機械製作所にいたころ、テレビの開発に乗り出していたシャープはアメリカのRCAと提携しました。同じ頃、松下はオランダのフィリップスと提携してテレビの開発を始めようとしていた。
だけど松下は、内心ではフィリップスだけでなくRCAとも組みたいと考えていたんですね。アメリカの技術を使った方が、占領軍の影響が残る日本で大きなマーケットを狙えますから。
そんなとき松下は、フィリップスとの提携を披露するパーティを、ニューヨークのシェラトンホテルで催したんです。そこに、RCAとの提携で勉強に行っていた早川さんと、シャープとRCAの橋渡しをした私が招待された。
私たちはパーティと言ってもアメリカ式だと思って普通の格好で行ったんですね。でも会場に行ってみたら、みんな燕尾服を着ていた。幸之助さんはわざと黙っていたのかも知れません。シャープのやつらはこんな田舎者だ、だから俺たちと組んだ方がいいよ、とRCAにアピールするつもりでね。僕は会場を飛び出して、近くで見つけた質屋で燕尾服を買ってパーティに出たんです。
こんなふうに仲良くはするけれど、絶対に気は許せない。そういう相手でしたが、協力しあえるところはしなければならない。その考えは揺るぎませんでした。
その頃、幸之助さんに呼ばれたこともあるんです。
「君な、なんでシャープみたいな貧乏な会社に行ったんや。俺の所に来たらいいじゃないか」
幸之助さんはそんなことを言った。私は答えました。
「金儲けするんだったら、他の業界にいってもっと儲かることやりまっせ。電機産業を立て直すという目標のためにシャープを選んだんです」。そうしたら幸之助さん、「頑固やなあ、後悔するで」って。
その頃から私は、企業は自分中心主義に陥ってはいかんと考えていた。独創ではなく、ともに協力し合う「共創」こそがお互いの利益になると。
特に電機業界は関西の企業がリードしていたから、技術力のあるシャープと販売に強い松下、そして三洋電機の3社が、競いながらも協力していくことが大事だと思っていたんです。ですから誘ってくれたシャープには、「松下と仲良くすること」を条件にして入ったんです。
早川さんも私の考えをよく分かってくれていた。だけど、その下におった専務が、「松下式の成功を目指すべきだ」という考えから離れられなかったんです。
その後も幸之助さんからは何度も松下に来るよう誘われました。
「松下に来たらシャープよりもっと収入が多いで」なんてね。だからあるとき、一発かましたんです。「技術屋というのはおカネは問題じゃない。モノが出来て、世間で使ってもらってこそ嬉しいんです」とね。
■S・ジョブズも弟子だった
'77年に幸之助さんは、26人いる役員の下から2番目にいた工業高校卒の山下俊彦さんを社長に抜擢しましたが、その山下さんに言ったらしい。
「電卓なんかの新しい技術でシャープを追い抜けなかったのがワシの一番の心残りだ。お前は、シャープの佐々木君に頭を下げてでも教えてもらえ」と。
それで山下さんが僕に会いたいというので、大阪・キタの料理屋で2人で会いました。山下さんが「頭を下げるから教えてくれ」と言うので、「それは教えるところじゃない、自分で勉強せなあかん」と言うと、「勉強するから教えてくれ。いっぺん、松下に活を入れてくれ」と食い下がる。
「うちにはな、敵に塩を送れるか、といううるさいのがおるんだ。そんなに言うんだったら、うちの専務に会って、あんたから頼んでくれ」と。そうしたら山下さん、本当に専務に会って、了解を取り付けてきた。
それで私は松下に講演に行くことになったんだけれど、行ってみたらびっくりしました。松下の本社に着いたら、山下さん直々に玄関で出迎えてくれるばかりじゃなく、重役が廊下にズラッと並んでる。赤絨毯まで敷いてある。気持ちが悪くてね(笑)。
で、その時の講演を、山下さんがテキストとテープに残して、次の年から新入社員全員にそれを配りだした。そういう雰囲気になって、シャープ、松下、そして三洋の共創関係も少しずつ出来てきたんだけれど、山下さんが社長を退くとだんだん関係も希薄になっていった。残念でしたね。
一方のシャープでも、せっかく世に送り出した新製品が真似られることに我慢ならなかった役員がいた。
松下に真似られるたびに、「俺の稼いだカネを使って君らがどんどん新しいものを作るからこんなことになる」と屁理屈を言うわけです。彼は社長になって実績も残しました。でも自分の身内や弟子を幹部に据えるようなことをした。結局彼らが、シャープをぼろぼろにしたんです。
つまりは、俺は凄いんだ、俺は偉いんだ、ということを誇示したかっただけなんじゃないかな。そうじゃなく、会社を生かしてこそ自分が生きてくるんだということにしないと。私から見れば、自分を生かすために会社を利用しようとしたように見えるんですよ。
日本企業はまだまだ新しい価値を産み出す力があります。私が期待していたのは、ソフトバンクの孫正義とアップルのスティーブ・ジョブズの関係です。2人は仲が良かった。
ジョブズは頭はあまり良くなかったかもしれないが、人を使うことについては天才だった。アップルには優秀な技術者がたくさんいて、ジョブズは彼らを使うことが天才的に上手かったんです。僕はジョブズに言っていたんです。「お前はマンゴーのソフトを考えろ」って。
アップルマンゴーって知っていますか? もともと熱帯の植物であるマンゴーは、寒さに強い植物とは年輪が違うから接ぎ木ができないと言われていたんです。ところが新しい方法を使って取り組んだところ接ぎ木に成功しておいしい実がなるようになった。それがアップルマンゴーです。これが異なる植物による「共創」です。
同じ事が企業同士で出来ないかと考えていたんです。ジョブズと孫が手を組んで、アップルマンゴーのように、新しい価値を創造してくれないかと。残念ながらジョブズは死んでしまいました。だから残った孫にはぜひそれに取り組んでもらいたい。彼には言っているんですよ。「俺はもう目標を達成した、なんて思ったら間違いやで。まだまだやらなきゃならんことが残っているで」って。
同じようにシャープこそが、まったく新しい「共創」の形を作らなければいけません。社会の変化に応じた画期的な商品を開発するために、独創的なアイデアを社員同士が闘わせるような会社になって欲しい。間違っても自分たちは「いままで通りやってきたテレビや家電を立て直せばどうにかなる」なんて考えていたら、未来は決して明るいものにはならないでしょう。
シャープに関する国内報道を眺めていて…
どの偽左翼マスメディアも触れない…
キーワードがありますね…
「日韓通貨スワップ拡充」
「護送船団方式」
…の…2つです…
売国奴集団 民主党が政権与党になってから…
IMF 経由ではなく「日韓通貨スワップ拡充」し…
「護送船団方式」は鳴りを潜めました…
一方で…上記2記事の引用で…
最も私が違和感を覚えたのは…
1番目の記事の…
「郭氏は日本人を好きだと公言する親日家」…と…
2番目の記事の…
郭氏の父親が…「元々は外省人、中国の出身」…の部分です…
外省人の息子が親日家…
…なんか…もう…蓮舫を例にあげるまでもなく…
限りなく可能性が「0」に近いシチュエーションですね…
実際に…1番目の記事では…
「太陽電池」技術などの「見返り」とも書いてありますし…
「見返り」を求める普通の「反日」中国人ですね…
2番目の記事では…語っている佐々木正は…
「若き日の孫正義氏に目をかけ、起業資金として銀行から1億円を借りる際の保証人になった」
…とも…書いてありますね…有名な話です…
まぁ…大立て者…などと持ち上げていますが…
孫正義という詐欺師の毒まんじゅうを食べていた訳ですね…
「ドイツ銀行、モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックスが、シャープ株を大量に空売りしていることが直近の報告書に記載」
「CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の数値を見ると、シャープのそれが信じられないほどの急上昇を描いている」
「甘い需要予測でマーケットを欺いてきた経営幹部の言葉はもう信じない」(外資系証券幹部)
「メインバンクを中心にしたバックアップ体制が明らかに」
…も…あげておきましょう…
特に…外資系証券幹部の話は…
売国奴集団 民主党が一貫して韓国を支援していたのだから…
甘い需給予測を見破れなかった筈はないし…
そもそも…マーケットって…「欺く」ものです…
さてさて…キーワードと登場人物が出揃いました…
過去記事で…
消費税増税に更なる公務員優遇まで絡める売国奴集団民主党…ソブリンリスクの嘘
本当の「先送りできない問題」はデフレなのに…
そして…それは…直ぐにでも解消出来るのに…
増税ありきの結論の基…ミスリードされています…
日銀法を元に戻すと言うと…「粛清されちゃうかも」…なので…
誰も虎の尾を踏みません…
世界に誇る…ステークホルダー型資本主義を捨てさせられてもなお…
日本人は怒りもせず…半ば諦め…
ショックドクトリンが加速しています…
…と…書きましたが…どんな時でも…
売国奴集団 民主党が代弁するのは…
投資家の利益のみです…
そこに…国境など存在しません…
だからこそ…サポーターに国籍条項が無いのですよ…
それでは…
「日韓通貨スワップ拡充」をしていなければどうだったでしょう…
野田佳彦が合意した韓国との通貨スワップ拡充は売国行為…韓国ウォン暴落でデフォルトの危機
韓国など…今頃…消し飛んでいますし…
日本企業が…シェアを奪われる事もなかったでしょう…
「護送船団方式」を続けていればどうだったでしょう…
「メインバンクを中心にしたバックアップ体制が明らかに」
なる訳ですから…ハゲタカ連中に…
ここまで売り浴びせられる事は無かったでしょう…
全ての元凶は…売国奴集団 民主党で…
孫正義など…詐欺まがいの連中と関わり合い…
日本人を人質に取られ…
何度も同じ手口で…技術やインフラを掠め取られる訳です…
「経済」という名の詐欺を日本では一体誰が教えてくれるのだろう?
…孫正義にさえ騙される日本人
TPP…が…締結されれば…
日本は…今よりもっと酷い状態で…
「1%」のクズ連中の財布にされるのですよ
何度も書きましたからリンクは入れませんが…
米韓FTAには…ISD条項も含まれていますから…
りんごは…韓国から…いくらでも毟り取れるんですよ
シャープは救済すべきです
日銀ッッ
しっかりしろッッ
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