202年ぶりの天皇の退位の儀式となる「退位礼正殿の儀(たいいれい せいでんのぎ)」が午後5時から10分余りにわたって行われました。天皇陛下は国民に向けた最後のおことばの中で、「象徴としての私(わたくし)を受け入れ、支えてくれた国民に、心から感謝します」と述べられました。
「退位礼正殿の儀」は皇居 宮殿の「松の間」で天皇陛下の最後の国事行為として行われました。
午後5時、モーニングを着用した天皇陛下が宮内庁幹部の先導で「松の間」に入られ、儀式が始まりました。
皇位のあかしとして歴代の天皇に伝わる三種の神器のうちの剣(つるぎ)を持った侍従が天皇陛下の前に、曲玉(まがたま)を持った侍従が後ろにつき従い、さらに国事行為の際に印(いん)として使う国璽(こくじ)と御璽(ぎょじ)をそれぞれ携えた侍従が続きました。
そして皇后さまや皇太子ご夫妻、秋篠宮ご夫妻などの皇族方も「松の間」に入られ、剣と曲玉、それに国璽と御璽が「案(あん)」と呼ばれる台の上に置かれました。
天皇陛下は壇上に置かれたいすの前に皇后さまと並んで立たれ、安倍総理大臣が進み出て、国民を代表して「これまでの天皇陛下の歩みを胸に刻みながら、平和で、希望に満ちあふれ、誇りある日本の輝かしい未来を創り上げていくため、更に最善の努力を尽くしていく。天皇皇后両陛下に心からの感謝を申し上げる」と述べました。
続いて天皇陛下が国民への最後のおことばを述べられました。
天皇陛下は「即位から三十年、これまでの天皇としての務めを、国民への深い信頼と敬愛をもって行い得たことは、幸せなことでした。象徴としての私(わたくし)を受け入れ、支えてくれた国民に、心から感謝します」と述べられました。
そして、「明日(あす)から始まる新しい令和の時代が、平和で実り多くあることを、皇后と共に心から願い、ここに我が国と世界の人々の安寧と幸せを祈ります」と結ばれました。
おことばが終わると、天皇陛下は壇上から降りられました。そして、皇后さまの方を向いたあと、部屋を見渡して最後にゆっくりと一礼してから、剣と曲玉、それに国璽と御璽を携えた侍従とともに「松の間」を退出されました。儀式は12分ほどで終わりました。
天皇陛下 最後のおことば 全文
source : 2019.04.30 NHK (ボタンクリックで引用記事が開閉)
今日(こんにち)をもち、天皇としての務めを終えることになりました。
ただ今、国民を代表して、安倍内閣総理大臣の述べられた言葉に、深く謝意を表します。
即位から三十年、これまでの天皇としての務めを、国民への深い信頼と敬愛をもって行い得たことは、幸せなことでした。象徴としての私を受け入れ、支えてくれた国民に、心から感謝します。
明日(あす)から始まる新しい令和の時代が、平和で実り多くあることを、皇后と共に心から願い、ここに我が国と世界の人々の安寧と幸せを祈ります。
退位礼正殿の儀 安倍首相のあいさつ全文
source : 2019.04.30 NHK (ボタンクリックで引用記事が開閉)
安倍総理大臣は、天皇陛下の退位の儀式「退位礼正殿の儀」であいさつし、国民代表として感謝の気持ちを表しました。あいさつの全文です。
「退位礼正殿の儀における内閣総理大臣の国民代表の辞」謹んで申し上げます。
天皇陛下におかれましては、皇室典範特例法の定めるところにより、本日をもちまして御退位されます。
平成の三十年、「内平らかに外成る」との思いの下、私たちは天皇陛下と共に歩みを進めてまいりました。この間、天皇陛下は、国の安寧と国民の幸せを願われ、一つ一つの御公務を、心を込めてお務めになり、日本国および日本国民統合の象徴としての責務を果たしてこられました。
我が国は平和と繁栄を享受する一方で、相次ぐ大きな自然災害など、幾多の困難にも直面しました。
そのような時、天皇陛下は、皇后陛下と御一緒に、国民に寄り添い、被災者の身近で励まされ、国民に明日への勇気と希望を与えてくださいました。
本日ここに御退位の日を迎え、これまでの年月を顧み、いかなる時も国民と苦楽をともにされた天皇陛下の御心に思いを致し、深い敬愛と感謝の念を今一度、新たにする次第であります。
私たちは、これまでの天皇陛下の歩みを胸に刻みながら、平和で、希望に満ちあふれ、誇りある日本の輝かしい未来を創り上げていくため、更に最善の努力を尽くしてまいります。
天皇皇后両陛下には、末永くお健やかであらせられますことを願ってやみません。ここに、天皇皇后両陛下に心からの感謝を申し上げ、皇室の一層の御繁栄をお祈り申し上げます。
トランプ大統領「両陛下に感謝」と声明
source : 2019.04.30 産経ニュース (ボタンクリックで引用記事が開閉)
トランプ米大統領は29日、天皇陛下の譲位に関する声明を発表し、「米国民を代表して天皇、皇后両陛下に心からの感謝を表明する」と述べた。
トランプ氏は「平成の世が終わり、新しい世代が即位しようとしている現在、日本との密接な関係は米国にとって極めて重要だ」との認識を表明した。
その上で、天皇陛下がこれまでに米国の大統領5人を日本に迎えたと指摘。陛下が在位した東西冷戦終結期から現在にかけて、日米関係は世界の懸案に対処していく上で死活的に重要だったと強調した。
また、自らもメラニア夫人と一緒に2017年に訪日し、両陛下と面会したとし、「新しい時代になっても米国の偉大な同盟国である日本とのパートナーシップと協力の伝統を続けていきたい」と訴えた。
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