2016/02/24

偽オリーブオイルが日本でも横行? 専門家が警鐘「海外ブランドの多くは欠陥品」

 source : 2016.02.23 zakzak (クリックで引用記事開閉)

健康や美容に効果があるとされ、料理にも多用されるオリーブオイル。その中でも最高品質をうたうエキストラバージン・オリーブオイルの海外ブランドの一部で偽物が横行しているという。腐ったオリーブから搾油するケースもあるといい、「海外ブランドの多くは欠陥品」との驚くべき証言も。背景には、流通前に実施される検査の“機能不全”が指摘される。

イタリアの主要紙「コリエレ・デラ・セラ」は昨年11月、普通のオリーブオイルを高額で取引される「エキストラバージン・オリーブオイル」と偽って販売した疑いがあるとして、同国の捜査当局が、国内の食品メーカーなど約10社を捜査していると報じた。世界的な有名メーカーも捜査対象となっているという。

遠い出来事に感じるかもしれないが、日本は多くをイタリアなどからの輸入に頼っている。業界事情に詳しい日本オリーブオイルソムリエ協会の多田俊哉理事長は「日本で販売されている海外ブランドの多くは欠陥品とみられる。問題は深刻だ」と警鐘を鳴らす。

多田氏によると、オイルの品質を保つ上で生命線といえるのが鮮度。オリーブは収穫してすぐ搾らなければ腐るが「数日間貯蔵し、酸化や発酵してカビが生えたものが搾油されているケースは珍しくない」という。

本物ならコレステロールのバランスを良好に保ち、心筋梗塞の予防などにも効果があるとされるが、偽装品なら健康被害を起こす可能性もある。

なぜこのような状態が生まれているのか。多田氏は市場流通前に実施される検査の“機能不全”を指摘する。

エキストラバージン・オリーブオイルが市場流通するに当たって行われる検査は「化学検査」と人が風味分析する「官能検査」(味覚検査)の2種類。いずれも国際オリーブ理事会が定める品質規格をクリアする必要がある。

だが、同会はオリーブの生産国で組織され、品質認証にあたっては生産国以外の第三者のチェックは行われない。「自分たちが作ったものの善し悪しを自分たちで判断している。チェック機能が働いているかは疑わしく、多少欠陥があっても『エキストラ』と偽って売っている」と多田氏。

そもそもエキストラバージン・オリーブオイルは、一番搾りのオイルで酸度0・8%以下、その他さまざまな化学分析に合格するほか、風味上の欠陥がゼロのものにだけ与えられる称号。生産段階でも採れるのはわずかだが、多田氏らの調査では明らかに欠陥品と分かる商品が簡単に見つかるといい、「国内には欠陥を見抜く高い技能を持ったバイヤーは少ない。品質を分かっていない納入業者の言葉をうのみにして仕入れてしまっているようだ」(多田氏)。

「オリーブの生産地は反社会的勢力の勢力図とピタリと重なる。検査サイドだけでなく、役人も賄賂をつかまされ、厳格であるべき検査が形骸化している」(別の業界関係者)と“黒い影”の影響を指摘する声もある。

では、購入する際、どのような防衛策を講じればいいのか。多田氏はこう語る。

「大容量の容器で数百円など安価で売られているものは『エキストラ』の表示があっても、注意する必要がある。良質なオイルの平均的な国内価格は500ミリリットルで3000円から5000円くらいだ。丁寧な仕事で極めて優秀な商品を作っているところはもちろんあるので、ワインを買うとき銘柄を見て選ぶように、オリーブオイルも銘柄で選ぶという意識を持つことも大事だ」

多田氏らはオリーブオイルソムリエの養成のほか、世界中のオリーブオイルを集めたコンテストを毎年実施しており、本物を知り、優秀な銘柄を知る機会にもなりそう。

偽物を見抜くには自らの目を養う必要もありそうだ。


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