2015/01/16

【高橋昌之のとっておき】戦後70年「戦後左翼イデオロギー」は終焉を迎える 対案なき「何でも反対」はもう通じない

 source : 2015.01.15 産経ニュース (クリックで引用記事開閉)

今年は「戦後70年」という大きな節目の年です。その初めにあたって、私は一つの予言をさせていただこうと思います。それは戦後70年間、日本を覆ってきた「戦後左翼イデオロギー」がついに終焉(しゅうえん)を迎えるということです。

ここで私が言う「戦後左翼イデオロギー」とは、古くは自衛隊反対、日米安保反対、消費税導入反対など、最近では集団的自衛権行使反対、原発再稼働反対、特定秘密保護法反対など、政権がやろうとすることには「何でも反対」するものの、「それなくしてどうするのかという対案は示さない」ということです。

マスコミでは朝日、毎日両新聞に代表される「革新・リベラル」を掲げた新聞やテレビ番組が、政党では古くは社会党、現在では共産党、社民党、そしてこれまでの民主党も該当するかもしれません。

こうした「対案を示さないで政権のやることには何でも反対する」という姿勢は、昨年末の衆院選で否定されたといえます。戦後最低の投票率は、野党がただ安倍政権・与党を批判するばかりで、具体的な対案を示さなかったからに他なりません。成熟した有権者はもはや、こんな主張には耳を傾けなくなってしまったということなのです。

共産党は議席を伸ばしましたが、それは他の野党がだらしなかったのに対し、現実的ではないものの一応、独自の対案を示したからだと思います。こうした考え方の人々は今後も一定程度残るでしょうが、大きな勢力になることはまずないでしょう。その意味で戦後70年経って、ついに「戦後左翼イデオロギー」の終わりが確実に始まり、今年はそれがはっきり目に見える形で進行すると、私は見ているわけです。

その根拠をまず、政治の面から説明しましょう。第1は、昨年末の衆院選の結果、自民、公明両党による連立政権は10年、20年、場合によっては「55年体制」と同様、30年続くかもしれないということです。というのは、平成24年と昨年の衆院選で2回続けて与党が選挙区で圧勝したことによって、今後は確実に与党の地盤が強化されるからです。

とくに候補者の中から1人の当選者を選ぶ小選挙区制のもとでは、「勝ち馬に乗れ」という心理が働きますから、企業や団体といった組織はさらに与党の支持に回るでしょう。野党再編の行方にもよりますが、この地盤を崩すのは容易なことではありません。

そして来年夏には参院選があります。参院選は全国で31ある1人区の行方が選挙結果を左右しますが、参院選では基本的に衆院議員の勢力が反映されます。わずか1年半の間に野党が勢力を盛り返すことは考えにくく、次期参院選でも自民、公明両党が圧勝すれば、さらに政権基盤は安定します。すると、自民、公明両党の連立政権の基盤は盤石になり、超長期政権になる可能性が大きいといえます。










第2に、自民党にはリーダーになりうる人材がまだまだいるということです。自民党の規約では総裁の任期は3年、連続2期まで継続することが認められています。先に述べた政治状況なら、安倍首相はよほどの失政をしなければ、今年9月の自民党総裁選で再選されて、総裁任期いっぱい務めることが可能です。

もし、安倍首相に何かあって政権が継続できなくなっても、自民党には2年前の総裁選で安倍首相と競った石破茂地方創生担当相、さらにはまだ若いですが、高い国民的人気を誇る小泉進次郎内閣府兼復興政務官らがいるので、彼らに交代すれば自民党への支持が弱まることはないでしょう。

そして安倍首相が任期いっぱい務めた後も、彼らの年齢からいって順当に政権を引き継ぐことは可能です。今のところ、野党に彼らに対抗できるだけのリーダーがいないことを考えれば、安倍首相が残りの任期4年間と、仮にその後、石破氏が6年間、小泉氏が6年間、自民党総裁・首相を務めれば、それだけでも合計16年間続くことになります。

政治は当然、一寸先は闇ですから、必ずこうなると言っているわけではありません。しかし、それほどの政治基盤が昨年末の衆院選で築かれたということなのです。だからこそ、有権者は昨年末の衆院選を、もっと真剣にとらえて、投票に行くべきだったのです。しかし、戦後最低の投票率となり、投票しなかった人は結果的に安倍政権に「白紙委任した」わけですから、結果的に国民はこの自民、公明両党の長期政権を選択したことになります。

一方、野党側では民主党代表選が7日に告示され、18日の臨時党大会で新代表が選出されます。代表選には長妻昭・元厚生労働相、細野豪志元幹事長、岡田克也代表代行の3人が立候補しましたが、その行方によってはますます「自民党一強他弱体制」が続きます。

民主党は昨年末の衆院選で、政治理念と基本政策を打ち出せず、反対ばかりで対案を示せないという従来の体質を変えられなければ、「自民党に対抗しうる政党」にはなりえないことがはっきりしました。

ただ、私は基本的に「政治には緊張感が必要だ」と考えています。政権が長期化した場合、よほどの自己浄化能力がない限り、必ず堕落しますから、本来は与党に対抗しうる、そして与党が堕落した場合は代わって政権を担いうる政党が必要だと思います。

今回の民主党代表選はそれを占う重要な代表選です。民主党の国会議員や地方議員、党員・サポーターはこれまでの党のあり方を厳しく総括し、そのうえでどのようにしたら党を再生できるのか、それにふさわしいリーダーは誰なのかをよく考えて、投票してほしいと思います。

また、マスコミ側でいえば、朝日新聞が昨年、慰安婦や、東京電力福島第1原発事故にかかわる「吉田調書」の報道について、一部を取り消して謝罪しました。私はまだ不十分だと思っていますが、朝日新聞はそれぞれについて調査結果をまとめ、再発防止策と、社の再生策を発表しました。

しかし、朝日、毎日両紙がこれまでやってきたような政権・与党のやることには「何でも反対」、そして「その対案は示さない」という従来の主張、報道を繰り返している限り、読者の信頼を取り戻すことはできないと思います。

私はこのコラムで「朝日・毎日への反論」を12回にわたって書いてきましたが、両紙はぜひとも私が反論できないほどの「対案」を示してほしいと思います。しかし、私はそれができないと断言できます。というのは、両紙の思考の根幹には「時代がどう変わろうと、戦後70年間続けてきた主張を今さら変えるわけにはいかない」という前提があるからです。

これを転換しない限り、両紙の主張はまず結論が先にあって、その根拠は後付けにならざるをえません。すると、必然的に時代の変化や現実から目を背けた空理空論、根拠薄弱なものにならざるをえません。こんなゆがんだ主張や報道にだまされるほど、今の読者は愚かではありません。

したがって、政界においてもマスコミにおいても、「対案を示さないままとにかく何でも反対していればいい」という「戦後左翼イデオロギー」は、もはや復活しようがないのです。政党も各マスコミも、この時代の大きな転換をしっかり受け止めて、もっと現実的、具体的で前向きな議論をしていこうではありませんか。われわれは子や孫、そして後世の人々のために、よりよい日本を作り、引き継いでいく歴史的使命を背負っているのですから。


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